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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年9月6日

※この文章は作者の日記ではありません。架空のものです。

9月7日(火)

 そういえば昨日はハローワークの狂人専用窓口の私の担当者が出勤する日だった。行けばよかったのではないだろうか、と起きてからすぐに思い出し、後悔した。しかし今後悔してもどうにもならない。時間の無駄だ。しかし狂っているためやることの無い私には、無駄な時間が沢山残っている。だから思う存分後悔できるのだが、それは気分が悪い。でも後悔くらいしかやることが……などといった負のスパイラルに脳が突入してしまいそうになったので、パソコンを立ち上げた。後悔するくらいならインターネットでもやっていた方がまだ健康的だろう、と思ったのだ。しかし早速気分の悪い書き込み(ニートに対する支援などさっさと打ち切ってしまえ、といった意見)を見てしまい、さらに気分が悪くなったので読書に切り替えた。


 昨日読み始めた野崎まど「パーフェクトフレンド」は、普通だった。文字は普通より大きく、なんと午前中のうちに読み終えてしまった。内容は、タイトルがそうなのだから当たり前なのだが、友情に関する話だった。狂ってしまった私などと友達になりたがる人間は、この世に存在していないだろう。もう悔しくもなんともないが。本当に、もうなんとも思っていない。


 午後、午前中にやろうとして中断していたこと、つまり後悔をやっていると、窓の外に猿が現れていた。まだ動物園に戻っていないのか、などと言った感想を抱きながら、部屋から見える機会の少ない自分以外の動くものを観察していると、猿は窓を叩いた。そして「そろそろ入れてくれませんかね」と言った。何故? と私は返した。「いや、まだ残暑が厳しいもんで」私の部屋にはエアコンが取り付けられていて、これを利用することについて家族から咎められたことは無い。「当たらせてもらえませんかねえ、エアコンに」猿が言った。そうとしか考えられない風に、猿の口は動いていた。きっと狂っているせいで見えている幻覚だ。私はベッドに横になり、布団を被った。窓を叩く音は、しばらく続いた。

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