表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
219/366

2012年3月20日

※この作品は作者の日記ではありません。

3月20日(火)

 今日になって初めて気がついたのだが、一億円失効前日に買っておいた五冊のハードカバー本が消えていた。やはり一億円が消えてなくなるということは、こういうことが起こってしまうということなのか。これからも私が一億円を用いて行なったことや買ったものが、なかったことになっていってしまうのだろうか。私は一億円を使って何をやったか、思い出してみることにした。一億円を使って買った中で今も消えていないもの、といえば、履歴書だった。


 それに気づくと同時に、天井から何かが落ちてきた。確認してみるとナメクジだった。狼が頭の中から小説をかけと言っているのと同様、ナメクジはさっさと働けと私を急かしているのではないだろうか。「私、ナメクジきらいです」榎本なごみは言った。私だって嫌いである。


 晩餐の席には何かがあってそれから立ち直ったのか、数日ぶりに妹の姿があって、妹の傍らには狼の姿があった。小説を書けとまた言うのか、と思いきや、妹の方が口を開いた。珍しい。私に話しかけてくるなんて。「この狼、喋るんだけど」そんなわけないだろう。狼は喋らないものだ。「本当だって、いや本当に」そんなわけがない。狼が喋ってなるものか。「小説書けよ」狼は喋る生きものではない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ