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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
216/366

2012年3月17日

※この作品は作者の日記ではありません。

3月17日(土)

 図書館へ行って本を読んだ。猿のエッセイ集「猿のまんだら」を読み終わらないまま、とうとう一週間が経過してしまったからだ。図書の貸出期間は二週間だが、せっかく図書館へ行く日なのだから読み終えてしまいたい。というわけで図書館で読んだ。とてもまともな神経の生物が書いたとは思えない、破綻した内容の文章だった。私のほうがまだまともに書けているのではないか、とすら思ったほどだ。発行日を見てみると十年前だった。母が翻訳家を始めたのと同時期だ。その頃まで母が絵本作家をやっていたことを、私は最近知った。


 帰り際に何気なく、といった調子で残高を確認した。そういう態度を取らなければ恐ろしくてとても残高の確認なんかできないからだ。残高からはきれいに一億円が消えていた。もっと使っておけばよかった、と後悔の念が押し寄せてきた。「まあ、君はこんなもんだ」五日夢に出てきた神様の声が頭の中から響いた。ような気がした。


 私が晩餐を口に運んでいると狼が私を睨んでいた。この狼に母が気づいているのかはわからない。先日はチャーハンを出していたが今日は何も出している様子を見ない。今日は見えていないんじゃないだろうか。「小説書けよ」と狼は言う。「昨日休んだだろ」しかし今日は出かけて疲れたので書けない、と言うと、「お前本当に書く気あるのか?」と言われてしまった。書く気はある。しかし気力は沸かない。駄目人間である。

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