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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
211/366

2012年3月12日

※この作品は作者の日記ではありません。

3月12日(月)

 宣言通り、私はハローワークへ向かった。そして狂人専用窓口で私のような狂った人間を担当している中年女性、何度会っても名前を覚えられない人と対面した。「今紹介できる仕事だとねえ」と、中年女性はパソコンをいじりながら言った。「色を塗る仕事」それは一体何のための仕事なのか。「さあ? でも月に二十五万出るそうよ。線画に色を塗るだけで」アニメ関係の仕事だろうか。「不動産屋らしいわよ」とりあえずそこに面接の予約を入れてもらった。明後日に不動産屋で色を塗る仕事の面接である。


 帰ってきてハローワークに行ってきたことを母に報告すると、「やっと助かった」と母は息を吐いた。「不安だったのよ。あんたがずっと働かなくなったらどうしようかと」やはり母は、自分の境遇を考えて私に働けと言っていたらしい。自分が仕事をしていない子供を抱えているという事実が嫌だから、子供に対して働けと言ったのだ。まあ、働いていないことを恥ずべきだとは思うけど。こう思うようになったのも母の教育のお陰だと、私は思っている。


 晩餐にキノコが入っていなかった。一体どうしたことか、尋ねてみると、「狂ってたら仕事に支障が出るでしょ」とのことだった。まあ構いはしない。私は是非とも晩餐には食べると狂って意識を失うキノコが食べたいわけではないし、大体あのキノコが入った料理は味がなくなってしまうし。しかし、いつもと違う、という点に対して、私は少しだけストレスを感じた。既に書くほどもないほど習慣化しているのだ、キノコを食べて気絶することが。

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