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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
209/366

2012年3月10日

※この作品は作者の日記ではありません。

3月10日(土)

 久しぶりに図書館へ行ってみることにした。返却する本があったかな、と探してみたが見つからなかった。きっと覚えていないうちに全部返却したか消滅したかしたのだろう。図書館では不思議なことが突然起こることが多いから。図書館へは自転車を使っていた。顔に受ける風が冷たくて全く心地よくなんかない。やはり自転車は好きになれない、と自分でこの交通手段を選んでおきながら思った。


 いつものように小説をいくつかと、猿の本を探してみた。すると猿のエッセイ集を見つけた。「猿のまんだら」という「猫のあほんだら」に良く似たタイトルの本だった。とりあえず借りた。何のために借りたのか、もう自分でもわからない。感想でもメールすればいいのだろうか。こんなにも間を開けてしまっているのに、今更メールなんかしていいものだろうか。


 帰ってこれも久しぶりにメーラーを開いてみると、大量のメールマガジンが届いていた。ほとんど動画サイトや通販サイトにログインするために強制的に加入させられたほとんど読まないものであり、だからどんどん開封しては捨てていった。そんな途中で、猿からのメールが届いていたので、メール開封のては止まった。本文は一行だけ、「しばらくメールのやりとりができなくなりそうです」と書いてあった。猿の身に何が起こったのか。考えたって分かるわけがない。


 晩餐の席で猿の身に何か起こらなかった、母に尋ねてみた。最近版さんの席で母に質問してばかりのような気がする。他に会話のきっかけが思いつかないからだ。別に親子の対話を重要視しているわけでも一家団欒を目指しているわけでもないけれど。「ああ、今度実験対象になるらしいわよ。知能が高いからって」猿との永遠の別れになるかもしれないメールの文面を、私は思い出そうとした。しかし確認するまで、ぼんやりとしか思い出せなかった。

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