2012年3月9日
※この作品は作者の日記ではありません。
3月9日(金)
小説を書いた。小説と呼べるほどのクオリティに達しているか分からないが、本人が小説と呼べばそれは小説なのである、と思うことにした。こんな話を書いた。叫び声を上げられて驚いた吸血鬼の少年は血を吸っていた女を放り出して逃げ出してしまう。死神の女もその日のノルマを放棄して家に飛んで帰ってしまう。翌日、学園にて二人は偶然再会してしまう。一瞬にして気まずくなる二人。そこへ現れたのが空気を読まない死神の女の友人だった。「ははあ、まさか」と死神の友人は勘違いする。死神の女が吸血鬼の男に一目惚れしたと勘違いしたのだ。「応援すっから、頑張れ」と手を取って言われてしまい、死神の女は困惑する。というところまで書いた。なかなか話が進まないのは、まだ結末を決めかねているからである。
水を飲みにリビングに出ると、昨日と同じく妹の部屋から音楽が漏れ聞こえてくる、今までこんな大音量で音楽など聞いていなかったのに、突然どうしたというのだろう。音楽の趣味に開眼でもしたのか。音楽好きの友人に影響でもされたか。妹の部屋に近づき、音楽の邪魔にならないよう、そっと開いてみた。ノックもできないあたりチキンである。覗いてみると、妹は眠っていた。眠ったまま音楽をかけっぱなしにしていた。置きだす前に、私は部屋の扉を閉めた。
晩餐の席に今日も妹は顔を出さなかった。「おかしいわねえ」と母は言った。なんでもここ数日、学校に行く以外で部屋から出てきていないらしい。それってそんなに珍しいことなのだろうか。反抗期にはよくあることじゃないのか。「この前まではそうじゃなかったからおかしいって言ってんのよ」なんでも、数日前までは妹は度々母の部屋に遊びに来ていたらしい。そんなこと私は知らなかった。