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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
207/366

2012年3月8日

※この作品は作者の日記ではありません。

3月8日(木)

 今後の我が家の収入のためにも、母と編集者の破局を阻止しなければならない。しかし最近編集者は家に来ないので私からはどうアプローチしていけばいいのかわからない。そうだ、今書いている小説を持ち込んでみる、というのはどうだろう。そう考えた私は、小説の持ち込み方法などについてネットで調べ、そして凹んだ。今時、小説の持ち込みなどを受け付けてくれるところは自費出版の会者くらいしかなく、自費出版の会社名で検索してみると例外なく「○○社 詐欺」という単語が検索候補に上がるのだ。こりゃ駄目だ。こうなったら新人賞を狙うしかない。


 そういえば編集者が勤めている会社名を私は知らない。名前さえわかればネットで検索できる。そこで母に訪ねてみた。「コルトエッジ社よ」なるほど、一回も聞いたことがない。そこで検索してみると、コルトエッジ社なる会社のホームページが出てきた。マニアックな翻訳ものやケータイ小説やコンビニで売られているとても役に立つとは思えないハウツー本などを作っているとてもまともとなは思えない小規模な会社で、一応新人賞も募集していた。コルトエッジ新人賞。優秀賞は10万円。少ない。佳作以上は必ず出版。本当だろうか。とりあえず編集者に会うためだ、信じて書いてみることにした。明日から。「おい」狼が頭の中で唸った気がしたが、そういうことは気にしない。


 晩餐の席で、妹の部屋から音楽が聞こえてきた。どうやら妹はコンポを持っているらしい。そんなこと初めて知った。それほど交流の少ない兄妹なのである。聞こえてくる音はやたらチープで、もしかしてたまかな、と思っていたらたまだった。今を生きる女子高生たる妹がどうして90年代にヒットして2007年にひっそりと解散したバンドの曲を聴いているのか、興味はあったが私には妹の部屋の扉をノックする勇気はなかった。今日も妹は晩餐時になっても部屋から出てこない。

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