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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
206/366

2012年3月7日

※この作品は作者の日記ではありません。

3月7日(水)

 今日も目覚めたのは午後だった。それもこれも酒が悪い。酒は冷蔵庫に入れっぱなしになっていて、このままのペースで飲めばまだ数日は飲めるくらい残っている。それがいけない。それだから飲んでしまう。そう思うに至った私は、日本酒を流しに捨てることを決意した。


 まず冷蔵庫から日本酒の一升瓶を取り出し、これを思わずコップに注いだりビンの口に自分の口を持って行ったりしないように我慢する。最近、飲んでも酔わないし。ただ眠くなるだけだし。酔わないなら飲む必要などないのである。そう自分に言い聞かせて、一気に蓋を開けて流しに捨てる。流しが日本酒臭くなる。私はとてももったいないことをやっている、という自覚が頭に持ち上がる。しかし、もったいないことをやってしまわないように酒を飲んで寝る、というもったいない時間の使い方をする方がもったいないので、酒は本日をもって卒業とする。人生は別れの連続だ。酒との別れの日だって訪れることがあるのだ。


 晩餐の席、流しが酒臭いことを母に指摘された。自分が酒を飲むのを止めるにはこうするしかなかったのだ、と私は正直に説明した。「そう。私も飲みたかったんだけど」はて、母は酒を飲むような人間だったか。「最近、上手くいってないのよ」仕事が、だろうか。「関係が」編集者との関係が?「このままだと、再婚も今後の仕事もなかったことになりそう」それは必死にならなければならない問題だった。

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