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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
205/366

2012年3月6日

※この作品は作者の日記ではありません。

3月6日(火)

 深夜というか朝早すぎる時間に目が覚めてしまった。原因は酒である。私は日本酒を飲んでしまった。どういう経緯があって飲んでしまったのかは書かないでおく。これを見れば思い出せるだろうし、あまり仔細に思い出したりしたらまた酒を飲みたいほどの自己嫌悪に陥るに違いないからだ。


 どうしようもないので散歩に出てみることにした。田舎の早朝は街灯も少なく、コンビニ付近を除けば真っ暗だった。「ゾンビが出てきそうな暗さですね」と、眠らない榎本なごみは言った。ゾンビといえば、ゾンビ騒ぎが思い出される。榎本なごみもそれを思い出したのだろう。あのゾンビは今頃どうなっているだろうか。きっと体は破壊されてしまっているだろう。なぜならゾンビには人権がないから。あと気持ち悪いから。ところで破壊されていくゾンビは、どの程度破壊された時点で意思がなくなるものなのだろうか。そう思っている矢先に、一匹の狼が現れた。


 狼なんか見るのは初めてだったので、私の足は止まった。狼は言った。「俺を主人公に小説を書いているらしいな」ああ、そうか、そういうことか。と思った私は安心し、狼に対しまともに対応することができた。「ふざけたものにはすんなよ。俺たちを馬鹿にするようなものを書いたら、ただじゃおかねえ」それをどうやってこの狼は確認するつもりなのだろうか。「わかるんだよ、お前の頭の中くらい。その理由、お前にだってわかるだろう?」もちろん分かる。この狼は私の頭の中に巣食っている狼であり、私の頭の中くらい覗き見ることができるのだ。私は狼と、ちゃんと小説を完成させることを約束し、マンションに戻って寝た。そして午後まで目覚めなかった。

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