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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
204/366

2012年3月5日

※この作品は作者の日記ではありません。

3月5日(月)

 いい加減忘れかけていた文章の執筆を再開することにした。いったい誰に向けて書けばいいのだろう? と思ったが、とりあえずそれは脇に置いておくことにした。考えすぎは良くない。というか何も思いつかない。そして文章をどこまで書いたか読み返しているうちに、どうにも駄作にしか見えなくなってしまっていたので、全て消した。そして最初から書き直した。こんな話を。設定は以前と同じで、吸血鬼の男と死神の女が共存している学園がある。とする。二人ともそれを隠して生活している。しかしある夜、二人は出会ってしまう。男は吸血のために。女は今夜死ぬ魂を迎えに行くために。しかも出会ったタイミングが、男がそこらへんの女を適当に口説いて血を吸っている最中だったものだから、死神の女は思わず叫び声を上げてしまう。吸血鬼の男は慌てて逃げ出した。というところまで書いた。今回はバトル展開に執着するつもりはない。恋話になってしまうなら、そうなればいい。と思う。以前と比べて投げやりに書いているな。と自覚した。


 妹が日本酒の一升瓶を持って私の部屋の扉を叩いた。もしやそれを榎本なごみに、そしてついでに私に撒き散らすつもりじゃないか、と器具した私は、すぐさま妹の脇をすり抜けてリビングに突入した。榎本なごみは私の頭上に向けて浮遊した。妹は日本酒の入った一升瓶から一口、酒を含んだ。そして吹き出すのかと思えば、そのまま飲み込んだ。もう一度口に含んだ。また飲み込んだ。一体何がやりたいのか、理解に苦しむ展開である。


 晩餐の席に妹は出てこなかった。気持ち悪くてものを食べる気が起きない、とのことらしい。酒をがぶ飲みしたのが原因だ、きっと。「それにしても、あのお酒誰が買ってきたの?」母は尋ねた。妹であり、それを飲んだのも妹である、と私はちゃんと説明した。「あんたが飲みたくて買ってきたんじゃないの?」疑われた。そういえば、一升瓶の中にまだ酒は残っている。

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