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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
203/366

2012年3月4日

※この作品は作者の日記ではありません。

3月4日(日)

 朝、ときおり見る気が出てくるテレビを見てみると、まだゾンビ騒ぎの特集をやっていた。もう一週間近く経つはずなのにまだ特集が組まれているということは、それだけ異例な出来事だったのだろう。そりゃそうだ、映画の中にしか存在しないとされていたゾンビが実在したのだから。というか私が見たゾンビは現実のものだったのだろうか。じゃあ飛行機で向かった宮崎という謎の場所も実在していたということなのか。


 ネットの地図で「宮崎」という地名を探してみた。宮崎県という名の由来や宮崎の難読地名が検索結果として表示された。宮崎以外に存在する「宮崎」という地名については、分からなかった。しかし私は確かに、いや幻覚かもしれないが、飛行機で宮崎に向かったのだ。次に宮崎空港の離着陸情報を見てみた。宮崎行きの飛行機は、当然のように存在していなかった。


 妹が珍しいことに、本当に珍しいことに私の部屋の扉を叩いた。開けると妹は開口一番、「あの幽霊を追い出すことってできないの? 急にうちに居座るようになって不快なんだけど」榎本なごみが反論した。「私の何が不快だっていうんですか?」妹は激しい言葉遣いで言い返す「その存在が!」榎本なごみは呆れた口調で、「そんな言い方じゃ少しも私の心に届きませんよ」妹は無言で部屋の前から立ち去り、台所から塩を持ってきた。そして塩を榎本なごみにぶっかけだした。榎本なごみは私の上空を漂っていたので、流れ塩が私の頭にひっかかる。いい加減にして欲しかったが、そうしなければ妹の気がすまないのだろう。飛び散った塩の掃除はするように、と私は妹に銘じた。妹はそれに従わなかった。


 晩餐の前に、母は塩を買いに出かけていった。妹が塩を使い切ってしまったのが原因である。「あんたのせいで、また家に災難が」と妹は言うが、これは完全に妹が原因である。榎本なごみは悪くない「味方してくれるから味方してるだけなんでしょ?」と妹は私に対して言った。榎本なごみのことだろう。その通りである。

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