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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年9月3日

※この日記はフィクションです。作者は正常な人間です。こんな生活はしていません。

9月3日(土)

 パソコンでインターネットに興じていると、猿脱走のニュースが再び報じられていた。未だ行方は不明なり、とのこと。ちなみにこのニュースは地域ニュースのページで見かけた。暇な私はそんなどうでもいいページすら閲覧するのである。インターネットに載っている情報などほとんどがどうでもいいものである、と言う人も時々あるが、間違ってはいないと思う。ニコニコ動画や2ちゃんねるを閲覧していると、特にそう思う。


 今日が土曜日だったことを午後になってやっと思い出し、先週もそうしていたように母と兼用の自転車を駆って図書館へと向かった。そこで本を返却し、本を借り、無料の給水機で大量に水を飲んだ。家で飲む水道水は残暑のせいなのか、ぬるいのである。家で飲めるものと言えば水道水か、無許可で飲む酒くらいしか無い。ほとんどの家にあるという、冷蔵庫で冷やされた麦茶は我が家には存在しないのである。


 家に帰ると母と聞き覚えのある男の会話が聞こえてきた。男の声は編集者のものだった。腕時計を壊された記憶がまだ鮮明に残っていたので、私は家には入らずに自転車をUターンさせて、本屋で立ち読みして時間を潰した。冷房が効いているとはいえ、何時間も立ちっ放しでいると、寝すぎて体力の低下した私は倒れそうになった。しかし、あの変な編集者と同時に家に居ることなどできなかった。来週から編集者が来たときはどうするべきか、私は真剣に検討する必要があった。


 立ちっ放しで何時間も立ち読みしていると、腰が痛くなった。横になっても腰の痛みは引かなかったし編集者が居たという恐怖のために胃袋が縮み上がっていたしなので、私は夜になっても晩餐を取りに部屋を出ることをしなかった。そのまま、深夜まで寝ていた。ついさっき目が覚め、腰が痛くなくなっていたので居間へと降りてみたが、やはり何の用意もされていなかった。私にキノコを食べさせなくて良いのだろうか。というか、私はどうして毎日義務のように味の無い名前も知らないキノコを食べさせられているのだろうか。改めて考えてみたが、分からなかった。不条理とはこのことだろうか。

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