表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
191/366

2012年2月21日

※この作品は作者の日記ではありません。

2月21日(火)

 午前中、持っていくものを吟味した。結果、数冊の本と日記帳くらいしか必要でない、という結論に至った。本はいずれも図書館で借りた本である。もちろん返却日までには帰ってくるつもりなのだから、問題はないだろう。ところで、宮崎へ行って帰ってきたら、私の残高の額が多いことがバレてしまうのではないだろうか。そう考えると急に行きたくなくなったが、もう準備を済ませてしまっていたのでいまさら嫌とは言えなかった。


 正午少し過ぎ、宅配便が届いた。母に応対されないよう、私はチャイムが鳴るなり素早く玄関に向かい、荷物を受け取った。そのまま自室に舞い戻り、ダンボール箱を上げると布製の物々しい色をした袋が入っていた。ダンボールには「商品:パウダー」とだけ書かれてあった。おそらくこれがゾンビパウダーなのだろう。準備完了である。私は家を出た。


 その足で銀行に向かい、多量の金を下ろし、タクシーを使って空港へ向かった。宮崎行きの飛行機まで60分待ちだった。早くも遅くもないと思う。特に他にやることもないので、私はゲートをくぐって待合室入った。榎本なごみはゲートを飛び越えて入ったが、それを咎めるものはいなかった。空港には結構な数の人間が居たはずだが、誰の目にも榎本なごみは見えなかったのだろうか。


 人があまりにも多いと人の目は気にならなくなる。私は比較的楽な気分で座席に座り、CAに水を要求した。薬を飲むためである。飲んだら薬のストックがなくなった。そういえば明日は病院へ行って薬を受け取らなければならない日だった。その時まで忘れていた。


 宮崎へ到着後、またタクシーを捕まえた。もう夜に近い夕方になっていた。榎本なごみのナビに従い、運転手に指示を出し、私は榎本なごみの死体が眠っているらしい墓地に到着した。石の十字架がいくつも並んでいて、まるで外人墓地のようだった。私はゾンビパウダーを荷物から取りだし、墓の上からふりかけた。長くなってきたので続きは明日書く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ