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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
190/366

2012年2月20日

※この作品は作者の日記ではありません。

2月20日(月)

 私はアルコールにやられて横になっていた。午後のひとときである。久々に、大量に摂取したのが原因だ。私はしばらく残高には手を出すまい、という自分への誓いをあっさりと破り、金を下ろして酒に手を出したのだった。カップの日本酒を立て続けに三本。あっさりと撃沈した私は腹の中に気持ち悪さを溜め込みながら立ち上がれないでいた。


 そうしているうちに喉が乾き、水が飲みたくなった。なので私は入らぬ力を振り絞って立ち上がった。そのまま台所へ向かって水を飲んだ。しかし吐き気は収まらない。むしろ冷たい水を飲んで腹を冷やしたせいでさらに吐き気は増したような感じすらする。トイレに入ってみた。しかし出せるものがないので何も出てこない。せめて胃液と飲んだ唾くらいは出てくれないものか、祈ってみた。しかし祈って履けるのであれば人は喉の奥に指を突っ込むという行為をせずに進化してきたはずである。


「明日から宮崎ですよ」ひたすら寝まくる私に榎本なごみが呆れた調子で声をかけた。分かっている明日は酒を飲まないつもりである。「誓いを立ててくれますか」私は横になったまま右手を上げた。「それが誓いのポーズなのかなんなのか分かりませんが、一応信用してあげます」明日までに回復するだろうか。


 晩餐の席、食欲がわかなかった。しかしそれでも出されたものは全部食べた。キノコも含めて、である。酒を飲んだことを悟られたくなかったからだ。「顔色悪くない?」母が言った。しかし顔色が悪くなった理由など言えない、言えるわけがない。だから私は強がった。なんでもない、と言った。そして部屋に戻って再び横になった。酒のせいか、なかなか狂いによる気絶はやってこなかった。

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