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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
189/366

2012年2月19日

※この作品は作者の日記ではありません。

2月19日(日)

 ゾンビパウダーを販売している怪しげなホームページからメールが来た。最近の私は毎日メールをチェックするのである。現物が届くのは早くても火曜日になる、とのことだった。届いたらどこへ持って行けばいいのか。私は榎本なごみに尋ねてみた。「私のお墓です」墓に死体は無いんじゃないのか。「私、土葬されてますから、死体はまだあるんです」家は何教だったのだろう。少し興味はあったがそこまで深く突っ込む気はなかったのでやめておいた。


 妹の友達が一人やって来た。妹とその友達は妹の部屋に入っていった。しばらく経つと怒鳴り合いが始まった。「やめろって!」「やるって!」おそらく昨日の晩餐の席で行っていたキャバクラで働くことに決めた友達で、妹はそれを止めようとしているのではないだろうか。まあ私には関係のない話ではある。なので放置しておくことにした。


「私のお墓なんですけどね」隣室から怒号が飛び交う中、榎本なごみは静かに話を切り出した。「ちょっと、遠いんですよ」それならタクシーを使えばいい。残高には少しの余裕がある。「いえ、飛行機を使わないと、一日では着けないところなんですよ」それってどこなのだろう。「宮崎です。私の生まれ故郷」そこへ行く飛行機代くらいなら出せる。幸いなことに。私は今度、家出を実行することになった。


 晩餐の席では友人と喧嘩別れしたにもかかわらず妹はけろりとした顔で食事をとっていた。友人というものはそういうものなのだろうか。喧嘩をしても後腐れのない関係。私の社会人時代には友達がいなかった。入社してすぐの歓迎会に出席しなかったからである。私は社内で孤立していた。学校でもそうだった。そろそろ過去を振り返るのはやめておくことにする。辛くなる一方だから。

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