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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
183/366

2012年2月13日

※この作品は作者の日記ではありません。

2月13日(月)

 保健センターへ歩いて行った。いつもは母の車で送ってもらっているので、歩くには骨の折れる距離がある。しかし相談しておきたいことがあるのだから仕方がない。到着する頃には喉が渇いていた。しかし金を持つことを親に禁じられている私にはコーヒーの一本も買えない。保健センター内には給水器もない。我慢するしかないのである。


 保険戦tナーの担当者を呼び出してもらい、どこか外へ出て誰かと交流できるような、それでいてサロンのような雰囲気でないところはないか、と相談した。「サロンみたいなところじゃないとなると、難しいですねえ」と担当者は言った。サロンのようなところしか紹介できないらしい。どれだけ狭い世界なのだ、狂人関係ってやつは。狂っている人間が世の中の少数派だから仕方がないと諦めるしかないのか。「ここより別のところなら、紹介できるかもしれませんね。市役所とか」これってたらい回しだろうか。


 市役所には明日行くとして、今日は帰ることにした。無駄足のような、そうでもなかったような感じがする。市役所で紹介されるのはどんな施設だろう。「働こうとは考えないんですか?」榎本なごみが訪ねてくるが、今の私が働いたところでトラブルを起こしてすぐクビになるだけだ。何しろ狂っているのだから。「言い訳に聞こえますねえ」働くにせよ働かないにせよ、次にハローワークの私の担当者が出勤するのは金曜日である。


 明日は市役所に行くことを、晩餐の席で母に報告した。「永久に探し続けて、それでごまかすつもりじゃないでしょうね」母は疑心暗鬼に陥っていた。無理もない。狂った人間が近くにいると狂いは伝染するものだ。それに、毎晩版さんに入っているこの赤いマザーと言う名のキノコ、これのお蔭で母の狂いは加速しているのではないだろうか。「それはないわよ、じゃあどうしてスーパーで安売りしてたのよ」決して安全ではないからこそ安売りしていたのではないのか。「そんなことしたら信用落とすわよ、そのスーパー」そうだろうか。

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