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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
182/366

2012年2月12日

※この作品は作者の日記ではありません。

2月12日(日)

「そろそろ髪切ってきなさい」と母に二千円を手渡された。それから榎本なごみに母は「酒を買わないよう見張っていてね」と頼んだ。こちらがやりそうなこと、お見通しである。仕方なく私はまっすぐ床屋へ向かい、千八百円払って髪を切ってもらった。髪が短くなったくらいで人の印象は変わるものではない。頭の風通しは良くなったが、それだけだ。「お酒、買わないんですか?」と帰り道で榎本なごみた尋ねてきた。私は榎本なごみに見張られているのだ、と説明すると、「言ったりしませんよ」と榎本なごみは言った。なので帰り際に鬼ごろしを買って飲んだ。


 つり銭が計算に合わないことで酒を買ったことは露呈し、大目玉を食らった。なるほど確かに榎本なごみは何も言わなかったが、こんな物理的な要因でばれることだったからだった。そこまで頭が回らなかったのである。あまりに単純すぎた故に。「あんた、やっぱり人として弱ってるのよ」と母は私に吐き捨てるように言った。今度からは気を付けよう、と私は心に誓った。今度こそ気をつける。絶対次も失敗する奴の思考パターンである。


 晩餐は出されなかった。酒を飲んだ罰則、とのことだった。空腹だったので私は気を紛らわせるために本を読むことにした。しかしリビングからドアの隙間を伝って食物の臭いが漂ってきて嫌でも食欲を刺激されるので本に集中できなかった。なので深夜になってからこっそり冷蔵庫を開け、なぜか途中まで食べてから輪ゴムで口を止めて冷やしてあったポテトチップス数枚を食べた。すると余計空腹になった。中途半端に食べたからである。今度からは気をつけよう。

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