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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
172/366

2012年2月2日

※この作品は作者の日記ではありません。

2月2日(木)

 今日はサロンへ行かなければならない日である。しかし気が乗らなかったので、保健センターに車で連れて行かされながらも、入口付近で何もせずに時間を潰していた。やがて職員が現れて、「あら、サロン行かないの?」と訪ねてきた。ここ数週間サロンには顔も出していないし、行きづらい、もう行きたくない、と伝えた。「あらそう。でもお迎えが来ないと帰れないでしょ? 我慢してみたら?」我慢してまで通わなければならないものなのだろうか。それが保健というものなのだろうか。と思ったが、ここで強情ばっても帰れるわけではないので、我慢してサロンに顔を出した。


 サロンでは編み物教室をやっていた。参加不参加は自由だったので、私は不参加を決め込んで人々が黙って編み物に没頭している脇で本を読んでいた。他にやることがなくて退屈だった。しかも本を読んでいても職員が「どんな本ですか」とか話しかけてくるので対応が面倒くさい。もうやめたい。


 その意思を職員に伝えてみた。「どうしても?」と念を押されたが、どうしても、である。私の気持ちは変わらない、と職員に伝えた。「わかりました、親御さんに連絡を入れてみますね」と職員は親に電話し、それから私は書類を書かされた。辞めたくなった理由の欄には「人と顔を合わせるのが苦痛なので」と書いた。まるで精神科の患者のような書き方だな、と自分で思った。その通りではあるのだが。


「あなた、働く意志ってある?」と晩餐の席で母に問いかけられた。あまりない、と私は答えた。「あら、そう」と母は言った。「とりあえずこれ、渡しておくわね」と母は私にタウンワークを手渡した。そういえば、明日はハローワークの私の担当者が出勤している日である、ということを、久々に思い出した。

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