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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
165/366

2012年1月26日

※この作品は作者の日記ではありません。

1月26日(木)

 天井一面にびっしりとかたつむりが張り付いている、みたいな夢から覚めると天井にびっしりとかたつむりが張り付いていた。こんなことが現実であるわけがない。かと言って榎本なごみでも一度にこんな大量のかたつむりを食べることなどできるわけがない。できたら幽霊改め妖怪である。何事にも限度というものがある。私はかたつむりを放置することにして目を閉じた。しばらく経つと顔に何かが当たる感触がしたので、目を開いてみると顔の上にかたつむりが落ちてきていた。邪魔である。


 そこで私はリビングで過ごすことにした。用もないのにリビングに出るのは珍しいことである。そこへ母が現れた。「喪服、まだ合う?」と母は男物の喪服を持ち出してきていた。母も喪服を着ていた。明日のために昔着た喪服を合わせようとしているらしい。今から合わせて合わなかったらどうするつもりなのだろう、と考えつつ着替えた。「自分の部屋で着替えないの?」と尋ねられたので、天井にびっしりとかたつむりが張り付いているのでその粘液が付着する可能性があるためできない、と正直に伝えた。「何言ってんの」と母は私の部屋を覗き込んだ。直後、悲鳴が聞こえた。喪服のサイズは幸いなことにぴったりだった。


 どうせすぐ消えると思っていたかたつむりの大群は夕方になっても消えなかった。夕方までかかって母と私はかたつむりを天井からはがしていたのである。ずっと腕を上に挙げていたので重労働だった。この程度のことが重労働になってしまうとは、私の体もなまったものである。母も疲れたようで、晩餐は三日連続して冷凍食品となった。明日は葬式である。

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