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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
160/366

2012年1月21日

※この作品は作者の日記ではありません。

1月21日(土)

 図書館へ行こうとすると、「体を貸してください」と榎本なごみに頼まれた。私の体を借りて何をするつもりなのか、具体的に教えなければ貸さないと言うと、「ものを食べてみたいんです」と言った。「私は塩の味なら感じることができます。じゃあ塩を調味料に使ったものの味ならわかるんじゃないか、と思いまして」食べ物の匂いで気持ち悪くなるのではなかったのか。「食べられれば、毎晩リビングから漂ってくる食べ物の匂いで気持ち悪くなる生活から脱せられると思うんです」夜の間は部屋から出ていればいいのではないだろうか。「外は寒いじゃないですか」寒暖の変化は感じる体をしているらしい。


 それから図書館へ行った。最後まで読んだ本や途中で投げ出した本を返却してから、また小説ばかりを借りた。村上春樹の本も思い切って借りてみた。「村上春樹を読む奴は変な気取り屋が多い」と聞くが、本当だろうか。もし私が村上春樹の本を読んで変な気取り屋になることがあったら、その噂を信じようと思う。しかしネットで聞いた噂なので私はほとんど信じていない。猿の小説を借りるのは、今回はやめておくことにした。どうも猿の小説からは普通に読書するよりも過剰に多くのことを吸収してしまう感じがして、私はそれを危うく思ってしまうのである。


 晩餐の席で、私の体は榎本なごみの制御下にあった、鯵の開きを口に持っていき、間で見た。すると味付けの塩の味しかしなかった。「失敗ですね」と私の口が動いた。「え?」と母は聞き返した。「いえ、なんでもありません」敬語だと相手に違和感を抱かせてしまうことにどうして榎本なごみは気づかないのか。

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