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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
159/366

2012年1月20日

※この作品は作者の日記ではありません。

1月20日(金)

 意を決して妹にどうしてトイレに盛り塩をするのか尋ねてみた。メールで。母の携帯電話を使って。私は携帯電話を持たされていない。仕事を辞める際に勝手に解約されてしまったのである。家族のうちで私一人が貧困層というわけだ。返信が来た。「私はそんなことをした覚えはない」とのことだった。じゃあ誰がこんなことをやったのか。


 今日も編集者がやってきて、「漫画雑誌の編集者があの子の漫画を見たんだよ。僕も見せてもらったけど、あの出来のものを商業誌に載せるのは難しいね。でも漫画雑誌の編集は見返りと引き換えに一回だけ載せるつもりらしいけどね。見返りってのはデートだ、最後まで行くでーと」みたいなことをなぜか母に暴露していた。だからなぜ母に暴露するのだろう。小説のネタにしてくれ、とでも思っているのか。しかし母は小説家ではなく翻訳家である。編集者は言うだけ言うと去っていった。そのあとトイレに入ると、盛り塩の標高が上がっていた。なるほど妹でもなかったわけだ。


 しかし盛り塩に意味はないことは既に判明している。幽霊にとって盛り塩はどんな意味があるのか、当の幽霊である榎本なごみに尋ねてみた。「入りづらい感じがします」じゃあ榎本なごみはうちのトイレにも入りづらいのか。「でも塩は私が唯一味を感じることができるものですから、入りづらさを押してでも舐めたくなるんです」編集者に盛り塩の意味がないことを教えてやろうか。


 晩餐の席で、私は文章のネタを考えていた。吸血鬼と死神がどのように出会ってどのようにバトルするのか、まだ決めかねていたのである。いいアイデアが出てこない。いっそのこと死神を女に、吸血鬼を男にして恋愛のもつれの末にバトルに突入する、という展開にしてみようか。前回書いた文章と似たようなパターンになってしまっているが、まだ二回目だから許されるだろう。

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