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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
156/366

2012年1月17日

※この作品は作者の日記ではありません。

1月17日(火)

 今日からキノコを抜くことにする。昨日は一口しか食べなかったわけだが、別に何事も起こっていない。以前二日か三日抜いたことがあるが、その際も何も起こらなかった。もしこのままずっと抜き続けて何も起こらなかったとしたら、私は真人間に戻れるかもしれない。希望が湧く。そうなったら仕事を探さなければならない。希望が萎える。面倒なのだ、今更仕事を探すのが。退職した人間に斡旋される仕事など高が知れていることだし。いっそ起業してやろうか。しかしその方面のビジョンは全く浮かばない。困りながら、今日からキノコを抜く。


 困った状態から逃避するように文章を書く事にした。今度こそ小説と呼べるような文章にするつもりである。しかし登場させることに決めたのは吸血鬼と死神という二大ありがちなモチーフである。これに異世界召喚とネットゲームから出られなくなったを加えると四大ありがちなモチーフとなる。しかしありがちとは王道と言い換えることができる。王道の物語はいつの世も強い。そこで話の内容も王道のバトルものにすることに決めた。バトルというからにはどちらかを勝たせなければならない。日本人の判官贔屓精神と照らし合わせれば、弱く見えるほうが勝つのが望ましい。そこで、神と怪物なら神の方が格が上だろうと考え、吸血鬼を勝たせることにした。さて問題は、どうやってバトルに持っていくか、である。困った。


 晩餐の時間、食べ物の匂いが嫌だと言っていた筈の榎本なごみが私の部屋のドアをすり抜けてリビングに入ってきた。どこへ行くのかと思って見ていると、トイレに向かっていった。食べないのに排泄はするのか。それとも別の理由があってトイレに行くのか。トイレから出てきた榎本なごみにトイレに入った理由を尋ねてみると、「塩を舐めてました」とよくわからないことを言った。試しに晩餐後にトイレに入ってみると、トイレのドアが開く側の角には盛り塩が撒かれていた。やったのは妹である可能性が高いと思われる。母は榎本なごみ他に対して無視という比較的友好的な態度をとっているのに対し、妹の榎本なごみに対するスタンスは不明である。だからいくらでも疑える。

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