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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
153/366

2012年1月14日

※この作品は作者の日記ではありません。

1月14日(土)

 猿に踊らされているような気がしないでもなかったが、新たに文章を書く気になったので書いてみることにした。今度は小説と呼べるものを、そしてもう少しわかりやすく読みやすいものを、と心がけたまでは良いものの、そこからネタが浮かんでこない。とりあえず主に読む年齢層を意識したほうがいいだろうか。若年層が読むもの、青年層が読むもの、壮年層が読むもの。どれがいいだろうか、と思い浮かべてみたが、今ひとつどれも思いつかない。そもそも最近の人々は本などあまり読まないのではないか、という気になってくる。ほんの登場人物で読書が趣味、というものも少ないことだし。


 何を書くのか決まらなかったので、ネタ出しを一日中行なった。午前中、部屋で頭を巡らせてみたが何も思い浮かばなかったので、午後は外に出てみることにした。榎本なごみも付いてきた。「歩いたくらいでいい考えが浮かぶものでしょうか?」歩かず浮いている人間にそれを言われたくはない。今日は歩いている間中、誰ともすれ違わなかった。人通りの少ない道を選んだおかげである。


 疲労だけを溜め込んで家に帰った。頭の中にはネットで数年前に読んだことがあるとある匿名の編集者の嘆きが浮かんでいた。「最近の応募作は死神と吸血鬼が出てくるものばっかで嫌になる」という内容だった。なので、私は王道を書いてみることにした。即ち死神と吸血鬼が登場する物語である。非現実的なものをモチーフにすれば取材する必要もない。そういえば同じ編集者の書き込みに「あとファンタジーと私小説的なものが多過ぎる。取材が必要ないからって楽しやがって」といった記述もあったような気がする。


 晩餐はスープがメインだった。スープというか、今にして思えばあれはシチューである。シチューに白飯がセットに付けられていたので、それがシチューだったと気づくまで二時間がかかったのだ。キノコはシチューに入っていた。おかげでシチューに味がなかったが、キノコ摂取のためなら仕方がない。今からシチューを作り直してキノコを別ざらにしてくれ、などという我が儘は傲慢すぎる。それにしても最近の私はキノコを食べることで無理矢理安心しようとしているような気がする。

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