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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年8月29日

※これは作者の日記ではないことを明言させて頂きます。又、登場人物、又は作者が完全に狂った場合、連載を終了とさせていただきます。ご了承ください。

8月29日(月)

 今日は月曜日であり、今日から日中に外を出歩く人の数が少なくなると思うと少しは気が楽になる。でも今日は外に出る幼児がない。これは楽だ、今日は一日寝て過ごそう……と思っていたのだが、ハローワークへ行く約束を酔った勢いでやってしまったことを思い出してしまった。忘れていたほうが幸せだったのに。なので、昼まで寝てから私は家を出た。仕方なくだ。約束を破っても殺されはしないだろうが、狂った心が許してくれない。お前は狂っているくせに人との約束まで破るのか、お前はつくづく価値の無い人間だな。自分にそう言われそうな気がするので、仕方なくだ。


 ハローワークでは狂人用の受付があり、そこで職を探すに当たってのアドバイスを受けた。「身なりはきちんと整えてください」「働きたい、という意思を先方にしっかりと示すこと」などといった内容だった。受付の人は中年の女性だった。暇な主婦だろうか、と思った。私は暇な主婦より暇な人間だ。本当に価値の無い人間だな。


 ハローワークから命からがら帰ってきてパソコンを立ち上げるとメールが届いていた。匿名のメールだった。「私の名前です。覚えて置いてください」と書かれ、その続きに名前が書かれていた。私は人の名前が覚えられない。現に今、パソコンを閉じて日記を書いている今、思い出そうとしても思い出せないくらい人の名前に関する記憶力は弱い。なぜなら人の名前には意味が無いからだ。勇、という名前だからと言って勇敢とは限らない。恵子、という名前だからといって恵まれているとは限らない。関連性の無い記号だから覚えられないのだ。だからメールは消さないでおいた。名前を思い出したくなったら見返せばいい……ん? どうして思い出したいんだろう。


 晩餐にはオムライスが出た。もちろん味の無いキノコが混入されていた。味が無いくせに、そのキノコが喉に入ると急に吐き気がこみ上げてきた。しかし食卓で吐いたらきっと後処理は自分でやらなければならなくなる。自分のものとは言え嘔吐物の後処理は嫌だ。だから頑張って全部飲み込み、トイレに入ってすぐ吐いた。きっと明日も栄養失調だ。

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