2012年1月7日
※この作品はフィクションであり、実在するする人物・団体・事件とは一切関係ありません。
1月7日(土)
百二十円と返却予定の本を持って図書館へ行った。歩きで。引っ越したことにより図書館が以前より近くなったことが自転車を使わない理由の一つ、そして引越しの際に自転車を運ぶのを忘れてしまい、父が過ごしている前の家に自転車を置きっぱなしにしてしまっているのが理由の二つ目である。自転車は嫌いなので取りに行く予定はない。
図書館の出入り口には自動販売機が置かれている。百二十円を使ってファンタを買ってみた。寒空の下、冷たい炭酸飲料を飲むと気持ち悪くなってきた。少し冷やしただけで吐き気に襲われてしまうとは、まだ胃は完全に回復しきっていないようだった。
それから久しぶりに図書館で一日過ごしてみることに決め、返す本と借りる本を受付に持っていったあと、検索機を使ってみることにした。このところ気になっている作家の名前である「猿」を著者名の欄に入力して検索してみると、百二十件の該当図書があると表示された。こんなに書いていたのか、と思ったが、猿渡や猿谷などという苗字の作者の本も含められていた。猿岩石日記も検索結果に含まれていた。もちろん読むつもりはなかった。
猿渡哲司の「金のトリック銀のトリック」という本を読んでみた。もしかしたら猿と何か関係があるかもしれない、という蜘蛛の糸より細い可能性に賭けて読んでみたのだが普通のミステリーだった。容疑者四人中二人が犯人で、探偵役と思われていた語り部は共犯者だった。あまり珍しくないな、と思ってしまうのは殺人者が語り部を務めることが多々ある西尾維新の本を読みすぎたせいだろうか。
夜、キノコの入っていない晩餐を食べたあと、部屋のノートパソコンでメーラーを開いてみると、猿からのメールが久しぶりに届いていた。「あけましておめでとうございます」から始まり、「ところで最近、キノコを抜いたりしていませんか」という文面が目に付いた。猿は私の何を知っているのだろう。どうやって知ったのだろう。気になったのでその質問を返信してみた。それから日記を書き始めた。キノコによって気絶する時間がなくなったので、日記を書き始める時間はいつもより早い。