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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
142/366

2012年1月3日

※この作品は作者の日記ではありませんって。

1月3日(火)

 横になっているうちに頭が覚醒したので目を開いてみると、額から足が生えていた。なんの感触もない。つまりこれは質量を持つ物体ではない。しかし人の足の足首から先は確かに私の額に潜り込んでいた。私は頭を起こした。すると足は何の抵抗も示さずにするりと頭を抜け、足の持ち主は元の位置に立ちっぱなしになった。そして起き上がって足の持ち主を確認してみると榎本なごみだった。「おはようございます」なぜ恥ずかしそうにしているのか私には理解できなかった。


「遊びましょう」と榎本なごみは行ってきた。しかし朝のように触ることのできない相手と何をして遊べというのだろう。もしや人間に触れないだけで物体には触れるのか。「そんなことありませんよ?」と言って榎本なごみは壁に手を沈ませたり抜き取ったりしてみせた。じゃあますますどうやって遊べるのか分からないではないか。「そうですね、じゃあ……私が先手で、7三歩」目隠し将棋はハードルが高すぎる。「じゃあどうしましょうか、ねえ。この体、使い勝手が悪いですねえ」そう言いながら榎本なごみは縦横無尽に飛び回り、私の体をなんども通過した。まるで幽霊と戯れている気分だった。もしや今の榎本なごみは幽霊なのではないか、とすら思った「そんなことないですよ。私はあなたの頭の中にちゃんといます」どうやら幽霊ではなく妄想の産物になってしまったらしかった。


 晩餐の席、リビングの済に巨大なゴミ袋が置かれていた。中に入っていたのは大量のキノコだった。捨てるつもりなのか。というか今までどこにこんな量を保管していたのか。冷蔵庫にも入りきらないぞ。「なんでこんなに持ってたのか、自分でもわからないわ」と母は言った。晩餐にはキノコが混じっていなかった。

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