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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
141/366

2012年1月2日

※この作品は作者の日記ではありません。

1月2日(月)

 昼間、疲れていたし他にやることも見当たらなかったので外を歩いていると、急に激しい嘔吐感に襲われた。しかし吐きたかったのに吐けなかった。これは狂いが見せた現象なのだろうか。幻覚が私の体、というか脳に作用して不快感を作り出したのだろうか。普通は見えないものが見える系の幻覚だったら見えても見えるだけなので特に困ることはないのだが、このような身体の不快感という形で狂いの現象が現れるとなると、それは実に苦しい。私はこれからこの現象がいつ起こるのか怯えながら暮らしていなかければならないのだ。早く狂いを治したい。しかしどうなれば治ったということになるのだろう。


 昨日の午後から深夜にかけての私は、パソコンの設定を元に戻すことに苦心していた。メーラーの設定を、メールが届いても音がならないように戻すために色々と操作を模索していたのである。メーラーは滅多にいじらないので、一度変えた設定を元に戻すだけで膨大な時間がかかった。夜になり、晩餐が出された。晩餐にはキノコが入っていなかった。パソコンの設定を戻しても現実の設定は変わらなかったのだ。


 しかしそれでも、母が一日に一食しか与えてくれない、という基本設定だけは変わらなかった。母の態度は以前と比べて大幅に軟化していた。私の話に対して笑うようにすらなっていたのである。しかし今日も朝食は出なかった。昼食も出されなかった。夕食の匂いがリビングから漂ってきた頃になって、私はようやく晩餐であることをドア越しに呼びかけられた。晩餐にはキノコが入っていなかった。どうしてキノコが入っていないのか、と母に尋ねてみると、「早くよくなってほしいから」と、この前とは正反対の意見が母の口から飛び出した。この前までは福祉をもらい続けるために私に狂い続けることを要求していたというのに。

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