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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
137/366

2011年12月29日

※この作品は作者の日記ではありません。

12月29日(木)

 朝から原因不明の涙が止まらず、不潔なことに布団を涙で濡らしてしまった。起きてとりあえず読書を始めてみるも、そお内容がちょうど発達障害という不憫な立場のの人間が主人公の話だったので、主人公が少し強めに人に当たられるだけで感情移入しすぎて泣いてしまう。最も小説というものは大体不憫な立場の人間が主人公になりやすいもので、この状態のままだと読書もままならないので、私は取り急ぎ対策を考えなければならなかった。しかし考えてもただただ悲しいばかりで、何も思いつかなかった。ただ悲しいだけで人間の行動力はこんなにも落ちてしまうのか。もとからろくに行動していなかったくせに、ちょっと悲しい程度でさらに行動力が落ちてしまった。このままではただの生きているやわらかい岩のようである。


 パソコンを開いて特に癒されることもなく泣きながらネットを巡回していて、ふと思い立ってメーラーを開いてみると、メールマガジン以外のメールが届いていた。榎本なごみからだった。内容は、初詣に行きましょう、というものだった。猿からも、「お久しぶりです。初詣に行きませんか」といった内容のメールが届いていた。私は泣きながらも、なんとかどちらにも「行きたいですね」と返信しておいた。どうするつもりだったんだ、私よ。


「どうして泣いてるの」と母にも問われた。晩餐の席でのことである。私は、理由がわからなくて困っている、としか答えられなかった。晩餐のキノコを食べても悲しみは増すばかりだった。「薬、飲んでる?」飲んでいなかった。もしや、と思って止めていた薬を飲んでみると、三十分足らずで悲しみは消えた。と同時に自分の中から感情が消える気分もした。どうやらセロクエルという薬は、感情の激しい上下を抑える効果のある薬であるらしい。

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