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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年8月27日

※これは作者の日記ではないことを明言させて頂きます。又、登場人物、又は作者が完全に狂った場合、連載を終了とさせていただきます。ご了承ください。

8月27日(土)

 昨晩食べなかったせいで、空腹で眠れなかった。そこで早朝、冷蔵庫に何か食べるものは無いかと漁ってみたがそのまま食べられそうなものは見当たらなかった。生野菜、パックのままのハム、バター等。仕方がないのでテレビをつけるとアニメでカードの対戦をやっていた。勝たないと人類が危ない、らしい。カードゲームで。遊ぶ相手が居て羨ましい、と思っていたら窓の外に猿の姿が見えた、気がした。早朝だし、寝ぼけていたせいで見えた幻覚だろう。空腹を紛らわせるために部屋に戻ってまた布団を被った。


 昼間、パソコンでインターネットをやっているとメールが届いた。匿名だった。「猿です。遊びませんか?」とだけ書かれていた。昨日の人物からだろうか。本当に猿からメールが送られてきた、と言うことはあるまい。どうしようもないので無視して削除し、このメールをこなかったことにした。しかしこうして日記に残してしまった。この段落を消すべきか、書いている今も悩んでいる。


 酒の効能を思い知り、もっと飲みたいと思った。しかし飲むと馬鹿になる。その証拠として、酒に酔ったまま書いた昨日の日記は馬鹿みたいだ。だから我慢しなければならない。いや、狂っているより酔った馬鹿で居るほうがいいのかもしれない。そう考えるとますます飲みたくなった。しかしこれ以上勝手に飲んだら家族にばれてしまう。ただでさえ言葉を交わしてくれない家族が酒を盗んでいるという事実を知ったらどんな手段に出るのか。考えるだに恐ろしかったので、私は気合を入れて我慢した。息を止めたり、腕立て伏せをやって無理矢理疲れて昼寝してみたりした。


 昨日電話したところを、夕方になって思い出した。何の前触れも無く。急に思い出した。私が電話した先はハローワークだった。「月曜日に来てください」と言われたということは、私は月曜日にはハローワークへ行かなければならない。しかし狂った私が今更ハローワークへ行ったところでまともに仕事を見つけることなどできるのだろうか。到底そうは思えない。しかし約束してしまった。約束を破るのは怖い、これ以上人を失望させることは怖い。月曜日にはハローワークへ行かなければならなくなってしまった。


 晩、昨日は何も口に入れなかったせいで食事をいつもの倍のスピードで食べてしまった。いつものように味の無いキノコ(恐らく私が狂っている原因)も入っていたが、構わず食べた。食事にがっつく私の姿は、浅ましかった。母はそんな私をただ無言で睨んでいた。父と妹は、私に視線すら向けなかった。

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