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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
129/366

2011年12月21日

※この作品は作者の日記ではありません。

12月21日(水)

 クリスマスにはシャンパンを飲むものであるらしいが、私はまだ飲んだことがない。ワインも飲んだことがない。飲んだことがある酒の種類は、缶チューハイとビールと焼酎だけである。日本酒も一度くらい飲んだことがある気がするが、そんなシチュエーションで飲んだことがあるのかは覚えていないので答えられない。とにかくそんなことを考えてしまうほど、私は酒を欲していた。酔いたかった。狂ったように酔いたかった。元より狂っているくせに正気じゃない状態に自分を持って行きたがっているのだ。酔っていないでいると体が緊張して固くなってくる。こんな、何もしていない生活をしていても、である。


 榎本なごみに昨日薬局でもらってきたリスパダールとセルシンを飲ませてみた。余っているので他人に飲ませても困ることあない。結果、「効きませんね」という感想が帰ってきた。「特に自分に何か起こった、といった手応えはありません」この二つは不安を抑える薬らしいが、患者である私ですらその効果を疑っている。だから患者でもない榎本なごみがそれを飲んでもなんに効果もないことは予測がついていた。「でも、実は中毒症状があって、明日になればまた飲みたくなるかもしれませんよ」それはない。毎日飲んでいる私ですらあまりの効果のなさに飲み忘れる日がある位だし、それでも特に何か不具合が起こるわけでもないのだ。この処方薬は酒より効果が薄い。


 晩餐後、その二時間以内に夜の分の薬を飲まなければならなかったのだが、今日も飲まずに晩餐に入っていたキノコのせいで狂って倒れた。そして起きて、この日記を書き始めた。薬は一日三回、毎食後に飲まなければならない。しかし私は食事の出されない朝と昼だけ薬を飲み(たまに飲み忘れ)、晩は気絶してしまうのでいつも飲んでいない。結果、余った薬が溜まっていく。これを一辺に飲んだらどんなことが起こるだろう、そう考えた私は、これを書き終えたらとりあえず10錠一度に飲んでみることにする。もしかしたら死ぬかもしれない。

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