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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
125/366

2011年12月17日

※この作品は作者の日記でも夢日記でもありません。

12月17日(土)

 夢を見なかった。というのも最近夢を見るとそれを必ずと言っていいほど日記に書いているような気がしたからで、それだとこれは現実の日記ではなく夢日記になってしまう。しかし狂いが見せた現実ではないものもこの日記は記録している。どうして私はそんなことを書いたのだろう。少し前までは、幻覚が見えないことを少し不安がっていたほどなのに、この心変わりは一体どういうことなのだろう。私が狂っているからなのか、それとも人間の大半は寝て起きたら考えが変わっているものだからなのか。


 榎本なごみに依存してはならない。そう私は決意した。決意はしたが榎本なごみは私の部屋に居座っていて、私はそれに対して出て行けと言わない。代わりに別の言葉で尋ねてみた。一生をここで過ごすつもりなのか。「そうですね……結婚しませんか?」私にそんなことができるほどの責任能力はない。


 妹に不幸が起こった。誰かが死んだとかそういったことではなく、クリスマス目前なのに彼氏に別れを告げられたという、あまり重大ではない不幸だ。しかし妹はこの世の不幸を全て背負い込んだ、私よりも不景気な表情をして帰ってきて、それから母に八つ当たりした。「お母さんが離婚なんかするから!」と、別れの責任まで母に押し付けようとした。母はそれを無言で受け止めた。それを自分の部屋で扉越しに聞いていた私は、これまで書いた文章を読み直していた。まるで面白くない。困った。


 狂っていることに依存してはならない、そう考えた私は、今夜は狂わないことに決め、晩餐に出されたキノコを口の中に入れたまま食事を終わらせ、自分の部屋に戻ってから口の中のキノコを吐き出してゴミ箱に入れてみた。しかしゴミ箱の中身は母が回収する。このままではキノコを食べていないことがばれてしまうことになる。まあいい。どうとでもなればいい。

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