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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
115/366

2011年12月7日

※この作品は作者の日記ではなく、実在する人物・団体等とは一切関係ありません。

12月7日(水)

 引っ越してきて大分落ち着いてきたので、今日は文章の続きを書くことができた。また心変わりした、人を殺した男とそれを慕う女の二人組は、二人を追う男からの逃走劇を再開する。夜中にこっそり逃げ出したので、追う男は朝になってから二人が逃げ出したことに気がつき、雨の中泣き叫ぶ。どうして、どうしてなんだ、といった感じで。どうして妹はあんな男のことが好きなんだ、と追う男は嘆く。私にもその理由はわからない。これから考えて決定しなければ、分からない。


 分からないと言えば榎本なごみが私を構う理由も謎である。何度尋ねてもはっきりした答えが返ってこない。今日も私の部屋にいた。楽しいのか、と尋ねてみると、「楽しいとか楽しくないとか、そういう感情でここにいるわけではありませんから」と言われた、やはり謎の人物である。謎が解けたら、きっと二度と会えなくなるのだろう。なんとなくそんな気がする。


 晩餐の席に新しい男が同席していた。編集者である。それでいて母の愛人でもある。父がいないから堂々と食卓についているのである。「やあ、できれば君と一緒に飯なんか食いたくなかったよ」と編集者は嫌悪の目を私に向けた。そんなこと言われても、私は母の家族なのだから諦めてもらう他はない。母からは家族扱いされていないかもしれないが、最低限の情けはかけてもらっている。「また君の持ち物を壊してもいいかい?」「駄目です」私の代わりに榎本なごみが答えた。「……帰ってこいよ、なあ」編集者は榎本なごみに言った。そういえば、編集者の名前は。

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