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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年8月25日

※これは作者の日記ではないことを明言させて頂きます。又、登場人物、又は作者が完全に狂った場合、連載を終了とさせていただきます。ご了承ください。

8月25日(木)

 生活そのものに価値と言うものが数値として示されたりすることの無い世の中でなくて本当に良かった、と思う。そんなことになったら人々の生活の価値の数値で順位が生まれてしまうし、私のような人間の生活などにはとても低い数値がつけられて凹んでしまうだろうし、激情家が低い数値を付けられたりなんかしたら怒り狂ってきっと犯罪に手を染めるだろう。それも派手な犯罪だ。だから人間の生活が数値化されていなくて本当に良かった、と思う。思ったからどうなんだ、とは聞かないで欲しい。ただ思いついただけだから。


 今日は木曜日なのでふれあいサロンへ連れて行かれた。ふれあいサロンでは交流会が行われていて、参加者にはお菓子が配られたりフルーツポンチを作って食べたりなぜか「上を向いて歩こう」を合唱させられたりした。「上を向いて歩こう」は嫌いな歌だ。なんだか皮肉に聞こえる。それに上なんか向いたところで手の届かないものばかりが目に入って気が重くなるばかりである。そんな歌じゃないことくらいは分かっているが。


 帰ってきてパソコンを開くと匿名のメールが届いていた。「先日のデートは楽しかったですね。次のデートは日曜日にしましょう」とだけ書かれていた。私にはデートなどと言う高等で狂っていない人間がやることを行った覚えなど無い。きっと間違いメールだろう。月曜日にドン・キホーテで私を付け回した人物から送られてきたメールだとしたら。だとしたら、不気味すぎて思わず震えてしまうだろう。狂っているが故に社会的な力を何も持つことを許されない私にはそのくらいしかできないのだが。


 今日の晩餐にはキノコの丸焼きが出された。まるで私が昨日キノコを消化せずに吐いたことを知っているかのような献立である。そういえばキノコを食べずに迎えた今日は、やけに調子がよく、ちょっとした考えまで生まれ、気持ちも心なしか前向きになっていた、ような気がする。しかし、キノコの丸焼きを食べないわけには行かなかった。もしかしたら、と気体を込めて口に入れてみたが、やはり味の無いキノコだった。吐かなかった。

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