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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
106/366

2011年11月28日

※この作品はフィクションであるため、登場する人物・団体等は架空なのです。

11月28日(月)

 久々に吐きそうである。それもこれも酒が原因である。どうやって酒を入手したのかは、書きたくない。とても卑怯な手段を使ったからだ。具体的な方法はとても書くのに勇気が必要なほど卑怯である。とても親不孝なことをした。しかし親は私を大事にしてくれてはいないので、別に孝行する必要はないのではないのか。単なる言い訳である。


 起きたら家に人の気配がなかったのがそもそもの原因である。どうも人がいない気がしたので、母の部屋を覗いてみると、いつもはそこで仕事をしている母の姿を見つけることができなかった。家に一人、の状況だった。そこで私は机を漁った。すると母の財布を見つけた。きっと出かけているはずなのに、母は財布を二つ持っているらしい。その証拠に見つけた方の財布には少額しか入っていなかった。しかし三千円も入っていればこれをコンビニへ持って行って酒を入手することくらいは可能である。迷った挙句、私は榎本なごみを出現させた。「やめましょうよ、犯罪ですよ」と言わせた。そして私は結局コンビニへ向かった。榎本なごみの健闘むなしく、私は愚行に走ってしまったのであった。


 母は夕方ごろ帰ってきた。何があって家を留守にしていたのか尋ねてみると、「デートよ、お父さんには黙っていてね」と帰ってきた。母は浮気にお熱のようで、おかげで罪悪感も吹き飛んだ。親の財布から148円(ビール1本分)勝手に使ったくらいがなんだ。このくらい浮気を黙ってやる代金としてはお釣りをもらってもいいくらいだ。


 母が返ってくる夕方までの時間は、酔いながら文章のネタ出しをやってみた。しかし酔った頭ではまともな考えが浮かばず、結局インターネットを巡回しただけで終わった。

 晩餐の席、今日は父が仕事から早く帰ってきていたので、父が同席していた。その父に、もし母が浮気をしていたらどうする、と尋ねてみた。148円ぶんの仕事を不意にしかねない蛮行である。父は、「はは、ははは」と笑った。それだけだった。

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