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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
103/366

2011年11月25日

※この作品は作者の日記ではありません。フィクションです。

11月25日(金)

 またしても夢の話である。母と編集者の密会の夢を見た。母とあの編集者、私の腕時計を最初に破壊した編集者が浮気をしている、という夢を見て目が覚めた。昨日の深夜、母が出かけたのも、もしかしたら。そんなことを思っていると榎本なごみが大丈夫大丈夫うるさいので姿が消えるよう念じて目を閉じ、そのまま横になった。


 すると違う夢を見た。作家になった私が仕事をしている夢だった。それも、書店巡りの営業、という、やったこともないのに自分に向かない仕事を涙目になりながらこなしている、という夢だった。作家の仕事に書店巡りの営業、なるものがあることを、私は先日インターネットで知ったばかりだった。だからそんな夢を見たのだろう。夢から覚めた私は、小説、という言葉ばかりを思い出し、我慢できなくなって本に手を伸ばした。「このキノコ人間が。」の続きを読み始めた。しかし、一向に本は終わる気配を見せない。そこで重力に任せてパラパラと一気にページを進めてみる。そして気が付いた。この本にはページ数がない。そしていつまでもパラパラとめくられ続けている。私は怖くなったので紐を挟むことも忘れて本を閉じた。


 晩餐に餃子が出された。恐らく冷凍のものだろうと推測されるものだった。それからゆでたキノコが添えられていた。どうしてわざわざ調理してまでキノコを食べさせたがるのだろうか。私は一昨日と同じくキノコを再出現させた榎本なごみに食べさせてみた。「私が食べてもあなたが食べても同じことですよ?」榎本なごみは言った。私はその意味を理解はしていたが、それでも、自分の口にキノコを持っていくのには抵抗があったのだ。

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