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20.魔力

◆メラルダ◇


 皇城に入ると、そこにはこの女性を含め、三人の皇族の思われる方々と、それを守る騎士の姿があった。


「お母様っ!」

「ヘリアンっ!」

 

 混乱の中、再開を分かち合う母と娘。

 それに比べて……。


「お久しぶりですね、エレナ様。」

「そうだな。」


 こっちはなんというか…。

 うん、分かってる。

 分かってるんだけど……。


「感動の再会が台無しね。」

「ちょっ!リディアっ!」


 毎度の事だけど、言っちゃうのね、それ……。


「って……あれ?」

「げっ……。」


 あの人は……博さん…………だったよね?

 勇者パーティーの。


「ふふ、博ちゃん。もしかして……気まづいの?」

「な、そ、なんなわけっ!」

「そうだよ!お兄ちゃん、ずっとそわそわしてたの!」

「美音っ!」


 美音ちゃんがニヤニヤしながらそう言うと、博さんは慌ててその口を塞いだ。


「ほぅ……。お前なのか。」

「なっ!いや、あの張り紙は俺じゃねーぞッ!!ほ、本当に……!」


 わ、わぉ……。

 エレナさん怖ーい……。


「まぁ、まぁ、落ち着いて、エレナ。」

「チッ……。」

「あはは……。それでヘンリ、状況は?」

「はい。私とティアで軽く見てきましたが、民の殆どは既に洗脳されていると見て良さそうです。」


 え?

 民が…………全員?


「魔眼の類ではなかったのか?」

「えぇ。私も最初はそう思ったんだけどね、どうやら違ったみたい。」


 でも、なら一体どうやって……。

 それに、あの時感じたあの悪寒は……。


「恐らく、魔力だろう。」

「え?」


 この人は……?


「私が偵察した時、一瞬だけ気持ち悪ぃ感覚があってな。その後、いきなり洗脳されてなかった民が襲ってきやがったんだ。勿論、周囲から視線は感じなかったぜ。」

「ほぅ……。つまり、魔力そのものに洗脳の効果があると?」

「あぁ。お前が魔眼だと勘違いしたのは、恐らく《鑑定魔法》だろう。」


 あ、そういえばアトキンス家に行く途中の船で、バッティアートが私に使ってた魔法も、鑑定魔法だったような……。


「確かに、それかも!」

「そういえばお前、昔バッティアートに鑑定されてたな。」

「勝手にねッ……!!」


 あの時はほっっっんとうに気持ち悪かったッ!!

 思い出しただけでも…………いや、やめよう。

 気持ち悪いし。


「そ、そんなに気持ち悪いのね……。」

「あぁ、私は一度こいつにされたが、思わず殴り飛ばしちまった。」

「いや……その…………すみませんでした……。」


 うわぁ……。

 この男騎士……バッティアートと同じだ……。

 何も考えずに鑑定するタイプ……。


「ティア、マルティも悪気があった訳じゃないんだしさ。」

「ノーラも殴ってたじゃねーか!」

「いや、それは……不可抗力よ!」


 しかもこの男騎士……マルティさんだっけ?

 この人、他の女騎士にも誰彼構わずやってたんだ……。


「精皇国のバッティアートだな。」

「いや、それほどでもないですよ!」

「褒めてないと思うよ?」


 どこからどう見ても褒めてないでしょ!


「はい、話を戻すわよ!それで、どうやってあの勇者?を倒す?」

「ここに誘き寄せてから、殺せばいいんじゃねーか?」

「ティア?」

「冗談だ。」


「まったく!」とアグネッタさんは両手を腰に置いた後、「あっ!」と声を上げた。


「あの時みたいに、魔力無効の結界を張ったらどうかしら?美音、さっきの決闘でやってたわよね?」

「……え?」


 あー、あれってこの子がやってたんだ……。

 でも、それって言っちゃって良かったの?

 美音ちゃん、凄く気まずそうだけど……。


「む、無理ですよ!あの結界はそう簡単に張れるものじゃないんですから!」

「私ならやれるかもしれないが……。」


 エレナさん、美音ちゃんの顔見てあげて?

 化け物を見たような顔してる……。


「どうしたの?エレナ。」

「いや、そもそも奴の洗脳は魔力なのか?と思ってな。」

「え?」


 エレナさんの疑問に、蓬けるヘンリさん。


「当たり前でしょ?他に何があるのよ。」

「……それも……そうだな。」


 それにしても……。


「凄いですね、洗脳のギフトって。」

「まぁな。」

「一度洗脳すれば、永続的に洗脳が続くなんて。」

「ッ――――!!」


 すると、突然エレナさんが消えた。


「え?」

「メラルダ!それよ!」


 そ、それ?


「有り得ないのよ!幾らギフトでも、洗脳を魔力なしでかけ続けるなんてッ!」

「え……?」


 違うの?

 でも、ならこの国の人達はなんで……。


「世界樹だ。」


 その瞬間エレナさんは戻ってくるとすぐにそう告げた。

 

「なるほど!世界樹の魔力を吸収することで、洗脳を維持してるのね!」

「言うまでもありませんが、皇妃様はお留守番ですからね?」

「なっ…………!………………いや、分かってるわよ!それくらい!」


 ぜっっんぜん、分かってない人の反応だったよね?今の。


「だが、世界樹の周囲に置かれた魔道具が面倒でな。下手をすれば世界樹に傷がつく。」

「もう爆弾じゃない、それ。」

「あぁ、その通りだ。私はこの魔道具の解除に向かうが、その間お前達には、あの勇者の足止めをして欲しい。」


 エレナさんが面倒って……。

 どんだけ複雑な魔道具なの?それ。


「でもエレナ、それなら最初から魔力無効の結界をあなたが張った方が早いんじゃない?」

「まぁな。だが、奴が結界を破れない保証はどこにもない。」

「そ、それは……そうだけど……。」


その後リディアがボソッっと「貴方なら行けるでしょ……。」と零すも、エレナさんの耳には届かなかった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


◆ヴェジクト◇


『おい!返事しろっ!フォーキンッ!!おいッ!』


 これで何回目の念話だッ!?

 奴の気配は感じるのに、念話への返答だけが全くねぇッ!!

 

「ちっ、何してんだ、あいつ。」

「あいつならもう死んだよ?」

「なっ……!!」


 な、なんだ!?

 この声はどこから…ッ!?


 その声が、まるで天から地上に響くかのように、周囲全体に響いた。


「頑張ってるね、ヴェジクト。」

「な、ルーさんっ!」


 次に背後から声が聞こえ、振り向くと、そこには写真でしか見た事のないエルフ……いや、ハイエルフがいた。


「いやぁ〜。それにしても、あんな大きながたいだったのに、いいの?こんな貧弱な身体にしちゃって。」

「こ、この身体には、洗脳のギフトがありますから。」


 そうだ!

 俺はこの身体のために、一年間この糞みてぇな国に潜んできたッ!

 そしてやっと手に入れたんだっ!この力をっ!


「ふーん。でもそれ、()()()?」

「…………へ?」


 な、何を言って……。

 

「その力は、確かに大抵の奴らなら洗脳し、意のままに操れるけど………………それはエレナにも通用するの?」

「ッ――――――!!」


 いや、…………だが…………。

 確かに、あいつに通用しないかもしれねぇ。

 もし、エレナが洗脳したヤツらを省みずに俺のもとまで突っ込んできたら……。


「ヴェジクト。」

「……はい。」

「僕の渡した魔道具は、もう設置したんだよね?」

「はい、そのおかげで、洗脳を維持できてますからね。」


 あれは凄い。

 世界樹の周りに設置すれば、周りに気づかられることなく、世界樹の発した魔力を吸収し、その魔力はこの俺のものになる。


「……………召喚者への魂移術には、本人の同意が必要。でも、今なら魂変術で身体を入れ替えられる。そうだね?」

「そ、それはそうですが……。」

「なら、その身体は誰かに譲ろう。」


 なっ……!?

 何を仰って……っ!


「っ……。」

「そして、君はあの紫髪の少女の身体を手に入れる。」

「…………紫髪?」

「いたでしょ?勇者をボコボコにしてた子供が。」


 そ、そういえば……。


「しかし、あれはただの餓鬼で……。」

「はぁ……。逆に考えて、ヴェジクト。人族は成長する。そしてお前は、あんなに強い子供、見た事ある?」


 …………………………ない。

 俺が餓鬼のころも、()()()()()()()であそこまで戦えたとは思えない。


「勿論、もっといい身体はいくらでもある思うけど…………こんないい卵、見過ごす必要…………ある?」

「…………いいえ、ありませんね。」


 それに、乗っ取った身体の高速成長なんて、今の俺は朝飯前だッ!

 なら…………それならッ!!


「もしかしたら、あいつはッ……!!!」

 

 俺を、最強にッ!!!

 

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