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29.牢獄部屋

「さむっ…………」

「我慢しろ。」


 まさか、こんな御屋敷の下にこんな地下があるなんて……。

 普通、牢獄部屋とかって御屋敷とは離れた場所にあるもんじゃないの?


「……………………もう、立っててもいいのか?」

「?…………はい。あまり無理はできませんが。」

「…………そうか。」


 薄暗い階段を降りながら、仄かに照らすもう何個目か分からない魔石を通り過ぎる。


「もうすぐだ。」


 やっとか……。

 というか、今は下りだからマシだけど、これ帰り死んじゃうって……。


 それから程なくして、下りはじめてから初めて、石の壁ではない、しっかりとした鉄の扉を目に捉えた。

 

「……少し、離れていろ。」


 そうして、エレナさんがその扉に軽く触れる。


 ――ゴゴゴォォ


 すると、まるで扉が意志を持ったかのように動き、扉が開いた。


「これは……。」

「魔道具の一種だ。まぁ、この国でも珍しいものだがな。」


 エレナさんは振り向かずにそれだけ言うと、扉の向こうへと歩いていった。


 ――コツン……コツン。


 無音の道に、エレナさんの足音が響く。

 

 扉の中に入って気づいたのは、この中はあの階段よりも()()ということ。


 そうして、またもや何もない道をしばらく歩くと、道の先に突然、先程よりも厳重そうな大きな扉が出現した。


「これは……。」


 幻影?


 でも、()()()()()()()()()()()()()()……。


 そうして、扉の左右に立つ二人の…………二人の…………。


「………………え、なんでここに()()()()()()()()()()

「ふふっ。」


 そう零すと、()()()()()()()()()()()がまるでその反応を待ってたとばかりに笑った。


「ちょっと、失礼ですよ、私。」

「仕方ないじゃない。そういうあなたも、同じことを思っているのでしょう?」


 そう言って、意地悪な笑みを浮かべるもう一人のシャーリィーさん。


 こっちの人は性格は私の知ってるシャーリィーとは少し違う見たい。

 もう一人の方も…………なんとなく違う気がする。

 

 それに……、シャーリィーさんの兄妹はフォルジュさんで、双子がいるなんて聞いたことないけど……。


「二人とも、自己紹介を。」


 エレナさんに声をかけられると、二人ははっとして私に向き直った。


「ようこそいらっしゃいました、メラルダ様。私達はシャーリィーの分身体でございます。」

「その中でも、私達二人はこちらの牢獄部屋の管理を任されております。どうぞ、お見知り置きを。」


 ????


 分身体?

 でも、まるで別人みたいなんだけど……。


「………………奥の奴に用がある。」

「存じております。」


 そう言って片方のシャーリィーさんが扉に触れると、扉は重々しい音を立てながら開いた。


「「どうぞ、こちらへ。」」


 扉が開かれてから、牢獄部屋まではすぐだった。

 しかし、その道中には、先程とは異なり、何人ものシャーリィーさんが見張りをしていた。


「………………。」


 そうして、牢獄部屋には無数の罪人が囚われていた。


「――――。」


 この空間を一言で表すのなら、夢だろう。

 勿論、他の人にとっては違うと思う。


 しかし、私とってこの牢獄部屋に囚われている人達は、その殆どが私と互角かそれ以上の強者ばかり。

 にも関わらず、そんな彼らは今、手錠一つ嵌められることなく、ただ牢獄に囚われているだけ。


 こんな檻、()()()()()()()()()()()()()


 その力が、彼らにはあると思う。

 にも関わらず、彼らは大人しく牢獄に囚われ、怒声や騒音一つ立てていない。


 こんな光景、世界中を見てもここだけだと思う。


「私から離れるなよ。」


 そうして、無数の牢獄が並ぶ道を歩く。

 罪人達は、通り過ぎる私達を、ただ見ていた。

 しかし、それが逆に恐ろしく、油断一つが命取りであるとすら感じてしまう。


 ――もし、ここに私も捕まってたら……。


 ――死んでたかもしれない……。


「………………ここだ。」

「……ぇ?」


 エレナさんの声で我に返ると、エレナさんは一つの牢獄の前で足を止めていた。


「こいつがあのメデューサだ。シャーリィーの話によると、こいつは今もなお、口を割っていない。」

「……………………。」


 …………やっぱり、()()


 シャーリィーさんがいたから、あの時は小物のようにも見えたけど、実際にまたこうして彼を前にすると、私では手も足も出ないと分かってしまう。


「おい、起きろ。」

「…………なんだ、囚われ者の俺に何か用か?」


 エレナさんを前にしても、物怖じ一つしてない。


「お前の持つ情報を、全て教えろ。」

「はっ、断るに決まってるだろ。」


 そう言って、再び彼は身体を横にする。


「………………お前に、選択肢をやろう。」

「は?」


 突然のことに、戸惑うメデューサ。

 しかし、エレナさんはそんな彼にお構いなく、話を続ける。


「もし、お前がここで大人しく全てを告白するのならそれでよし。もしそれを拒むのなら…………お前の情報を、()()()()()()。」

「………………なんだと?」


 苛立った様子で、エレナさんを睨みつけるメデューサ。

 しかし、エレナさんはそんな彼をもろともせず、先程と変わらぬ様子でメデューサを見つめる。


「ちっ、やってられるかッ!!」


 ――ゴォォォンッ!


 そうして彼は、拳の衝撃波で自身の入っていた牢獄の檻をこじ開けた。

 まぁ、やっぱり出来ちゃうよね……。


「ふん、無駄なことを……。」


 ――パン!


 その瞬間、乾いた音が辺りに響いた。

 まるで、手を叩いたかのような、そんな音。


「なっ…………!?」

「え……?」


 何が…………起きた?


 さっき、確かにこのメデューサは檻を破壊したはず……。

 しかし、今私の目の前にあるのは、その前の変わりない、傷一つない檻。


「どうなってるッ?!」


 まるで、あの出来事が全て幻であったかのように、檻は元に戻っていた。


 それから、メデューサは何度も脱獄を試みた。

 しかし、いくら壊そうとも、いつの間にか牢屋は元に戻り、壊した瞬間にメデューサが外に出ようとしても、いつの間にか牢屋の中に戻る。


「はぁ…………もうやめとけ、新入り。」


 すると、このメデューサとは反対の牢屋の中の大男が、重々しく告げた。

 先程までは気配すら感じなかったけど、こうして今見ると、存在感だけなら下手したらエレナさん以上だ。

 その大男は、片目を開け、面倒くさそうにメデューサの方を向くと、呆れた様子で続けた。


「お前は、この状況に違和感を持たないのか?」

「違和感だと?」


 すると、大男は軽く腕を横に振った。


 ――ゴォォォン!!!


 それだけで、大男の周囲の牢屋が破裂した。


「「なっ…………。」」


 今、ただ腕を振っただけだよね?

 でも、今の威力は私の全力でも多分、対抗出ない……。


「お前は、俺よりも強いのか?」


 しかし、大男が砕いたものは、全て何事もなかったかのように元に戻っていた。


 それだけではない。

 今の大男の攻撃は、少なからず周囲の牢屋にいた人達にも被害があったはず。

 しかし、周囲の罪人達に死人や怪我人がいる気配はない。


「………………。」


 メデューサが驚愕の表情で大男を見つめる中、エレナさんはため息を吐きながら大男の方を向いた。


「おい、リーグル。」

「………………悪かった。」


 え、素直……。

 いや、見た目が怖いから、怖い人だと思ってたけど、もしかしてそんな事もない?

 

 いや…………でも…………ここにいるってことは罪人だし……。

 っていうか…………この大男の言い方からして、こいつですら脱獄できないってことだよね?

 どんな作りなんだろ、この牢獄部屋。


「さぁ、どうするんだ?」


 エレナさんが、改めてメデューサに問うた。

 しかし、どちらにしろ情報を吐かされるのだ。

 最初から彼に、選択肢などない。

 

「……………………分かった……。」

 

 すると、男は諦めた様子で重いため息を吐いた。

ここまでお読みいただきありがとうございました。


次回の投稿は2025年2月25日を予定しております。


また、誤字報告も合わせてお願いいたします。

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