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25.情報【3視点】

◆???◇

 

「それで、例の聖獣は?」

「予定通り、()()()()()()()()()()()()()()()()。」

「そうか。」


 暗がりの中、一本の蝋燭が揺らめき、その灯りが周囲と、その部屋に佇む三人の男達を僅かに照らす。


「なら、次の計画に以降しよう。」

「いいのかよ。このままじゃ間に合わねぇぞ?」


 すると、壁に背を預けた男が不満そうに、そう声を上げた。

 

「いや、間に合うさ。」


 しかし、部屋の中心にて、豪奢な椅子に腰かけた男は、そう返すと、不気味な笑みを浮かべた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


◆メラルダ◇

 

 さて、というわけで。

 元凶を見つけ出そー!と言った私ですが、かと言って何か策があるわけでもなく……。


「うーん…………。」


 こうしてまた、降り出しに戻っています。


 いやね、分かるよ?

 言い出したのはお前だろっ!って。

 でもさ、考えて見てほしい。


 そもそも、聖獣案件がこんな簡単に解決するとは思わないでしょ普通。


 まぁ、条件は幾つかあったけど、それくらいはマイルズさんも呑むだろうし。

 

 確かに聖獣の子を捕まえた者達。

 つまり、このサーシャちゃんの件を企てた元凶を見つけ出すのは確かに苦労するかもしれない。

 たださ、それでも流石に聖獣と戦うよりかは何千倍も楽なわけよ。


 まぁ、つまるところ、勇者が魔王との戦いを前にして、その後の自分について考えるか?って話。


 普通考えないでしょ。

 それどころじゃないんだから……。


 でも、今の私達は何故か魔王が自然消滅し、強制的に次の問題にぶつけられているような状態である。

 しかも、その魔王は最強で、この問題を解決できなければ、その魔王が復活するかもしれないとかいう無茶苦茶なおまけ付き。


「うーん…………精皇国に行くしかない気もするけど………………そう簡単に入れるわけないよね……。」

「そうですね……。」


 一様、精皇国にはギルド支部が存在するから、冒険者であればどの種族でも出入りすることは出来る。

 ただ、それはあくまで冒険者の話。

 貴族やその関係者が来訪すれば、流石の精皇国も警戒するだろう。


「それに……私海賊だしね……。」


 なんか、忘れられてそうだけどね……。

 一様まだ海賊なんだよ?


「この御屋敷にも冒険者経験を持った者はおりますが…………。」

「まぁ、それくらいの情報は広がってますよね……。」


 そうでなくとも、他の貴族と比べてこの屋敷の使用人は少ない。

 しかもこれだけ強いとなれば、流石に相手も警戒しているだろう。


 ここを襲撃したあのメデューサも、知っていたみたいだしね。


「うーん………………。」


 やはり、どれだけ考えても、その状況を打開する策は浮かばない。

 それどころか、もしかしたら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とすら思ってしまう。


 流石に、それはないと思うけどね。


「やはり、まずは相手の狙いを知ることでしょうか?」

「狙い…………狙いかぁ…………。」


 普通に考えたら、前に私が言った通り、聖獣の子とサーシャちゃんを契約させた後、サーシャちゃんを連れ去り、戦力として利用することだろう。


 でも……。


「………………もし、サーシャちゃんと聖獣の子供が契約できなかったら、サーシャちゃんは恐らく上位精霊と契約させられていたと思うけど…。」

「…………そうですね……。一時的な契約ではあるとは思いますが、それしか方法はないでしょう。」


 でも、相手にとってもサーシャちゃんは聖獣を使役できる唯一無二の存在なはず……。

 

 そんなサーシャちゃんを、契約してくれるかも分からない上位精霊と契約させるなんて、そんなめちゃくちゃな作戦を立てるだろうか?


「……そんなにバカとは思えないけどなぁ……。」

「…………………………もし、仮にの話ですが。」


 すると、突然シャーリィーさんは魔法で一つの大きな紙を取り出した。


「…………これは?」

「つい最近の情報紙です。」


 その紙には、無数の文字がびっしりと書かれており、この国だけではなく、他国も含めた文字通り全世界の情報が記載されていた。


「えーとですね…………確か…………この辺に…………あった!」

「…………?…………」


 そこに書かれていたのは、魔族と呼ばれる種族が住む魔帝国の情報。

 その文字は幸い共通語で書かれており、私でも読むことが出来た。


「ここを見て下さい。」

「えーと…………、()()()()()?」

「はい。」


 え、皇主様って皇帝の子供のことだよね?

 それが、誘拐って……。

 警備甘すぎるでしょ……、その国。


 …………あれ、でもそんな話…………どこかで……。


「……………………あ!」

「はい。お気づきの通りです。」


 もし、この件と私達の件の犯人が同一人物だとしたら。

 聖獣の子を攫えるほどの実力があれば、国の王女の誘拐なんて、そう難しいことではないのかもしれない。


 でも、一体どうして?


「そうして、ここをご覧下さい。」


 そうして、シャーリィーさんが指したのは、この内容の最後に書かれていた部分。

 そこには、強調された文字で、こう書かれていた。


 ――その日、城内にて()()()の姿が確認されたという目撃情報が数多く上がっている。


「エルフ…………。」

「はい。」


 流石に、魔帝国の城内に、他国の種族であるエルフがいるはずがない。

 でも、そんなその場にいないであろう種族を、多くの者が目撃している。


「もしかして……。」

「はい。これは恐らく、罠かと。」


 いや、まぁ…………確かにそれほどの実力の持ち主なら誰の目にもつながずに攫うことくらい出来たはず。

 にも関わらず、わざわざ多くの城内の者にその存在を視認させた。


 でも、罠って……。


「え、もしかして、()()()()()()()()()()()?」

「恐らくは。」


 いや、確かにエルフとダークエルフには因縁があるとは聞くけどさ……。

 これほどなの?

 

 確かに昔は精皇国と魔帝国の間で戦争があったって話は聞いたとこあるけど……。

 ってことは、皇主様を誘拐したのは、人質にするためとか?


「皇主様を誘拐したのは、恐らく戦争のきっかけ作りのためでしょう。」

「え、人質にしないんですか?」

「はい。エルフの目的はあくまで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()でしょうから。」


 えぇ…………。

 それだけ?


「お気持ちは分かりますが、魔帝国もエルフを忌避する者が多いですから、どっちもどっちです。」

「なるほど……。」


 お互い、自国でのんびり生活すればいいのに。

 無駄なことをするよね、ほんと。


「でも、このままじゃサーシャちゃんなしで始めることになるのでは?」

「はい。そこなのです。」

「え?」


 そこ?

 って、どこ?


「おかしいのです。」

「何がです?」

「精皇国が、勝てるはずのない魔帝国に戦争を仕掛けること自体、本来はありえないのです。」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


◆エレナ◇


「おかしいな。」

「あぁ、そうだな。」


 マイルズとトゥーリアとの会話が終了し、トゥーリアは転移してきた娘を連れて余った部屋にて待機してもらうことになった。


 そうして私達は今、全世界の数々の情報紙や情報網を用意て、この件の元凶の情報を探るも、やはり怪しい国は最初に目星をつけていた二つの国に絞られた。


「一応聞くが、何がおかしいんだ?」


 私がそう問いかけると、マイルズは淡々と説明を始めた。

 

「精皇国には現在、魔帝国とは違い昔のような戦力は残っていない。ハイエルフ達が固まればそれ相応の力にはなるだろうが、それでも皇帝には敵わないだろうな。」


 そう。

 確かに昔、数百年前までなら、そのような戦争もあっただろう。

 精皇国が魔帝国に戦争を仕掛けることも、少なくはなかった。


 だが、それはあくまで精皇国の皇王が魔帝国の皇帝に並ぶ圧倒的強者であったからこそ成り立ってた事だ。


 しかし、当時の皇王が死んだ今、新たな精皇国の皇王には、それほどの力はない。

 贔屓目に見ても、皇帝どころか、Sランクの魔物と張り合える実力があるとすら思えない。


 つまり、今戦争をしかけたところで、皇帝の独壇場という訳だ。


「だが、かと言って今のサーシャを連れ去っても意味がない。」

「あぁ、そうだな。」


 今のサーシャは、聖獣の子との契約どころか、まだ目覚めてすらいない。

 私の見込みではもう少しで目を覚ますだろうが、元凶はそんなことを知るはずもない。


「この二国が関係していることは、確かなんだがのなぁ……。」


 マクシムもそう言って頭をかきつつ、机に並べられた数々の情報を手に取り、次々と目を通している。


「だが、うご」


 ――キーン……。


 その瞬間、探知に何かが突然引っかかった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


次回の投稿は2025年1月14日を予定しております。


また、誤字報告も合わせてお願いいたします。

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