24.龍【2視点】
昨日投稿するつもりが寝落ちしてました。
すみません…。
◆メラルダ◇
『仲間………………あぁ。この竜達のことか?』
「はい。」
『それはのぅ。』
その瞬間、白龍とその周辺が一瞬だけ霧のようなものに包まれた、そうして、その霧が晴れた瞬間…。
「ッ………………。」
そこには、少し前と同じ光景が広がっていた。
あの時、確かにミッテランさん達が倒したはずの竜達が何事もなかったかのように飛翔し、こちらを見下ろしている。
『これは、妾の作った人形じゃ。』
「に、人形って…………。」
冗談でも、笑えない。
だってこの竜達、どこからどう見ても、全員がSランクに届きうる力を持ってる。
それだけでも、十分に脅威だ。
Aランクの上位ドラゴンなんて、比較にならないくらいには強い。
にも関わらず、これが無敵って。
そんなのもう……
――悪夢でしかない……。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◆エレナ◇
あの後、結界の存在に気が付いた私は、すぐにその場を離れ、マイルズと共に屋敷へと駆けた。
もちろん、私の速度に追いつける者などマイルズしかいないため、子龍を含む他の者は残念ながら置いてきた。
しかし、それから少しして、結界が解除されたことに気づいた私は、すぐにマイルズと共に屋敷へと転移した。
そうして、そこで待っていたのが、この白龍だ。
『始めましてかのぅ。今代のアトキンス家当主よ。』
「………………あぁ、そうだな。」
あの子龍が白龍だって時点で、まさかとは思っていたが……。
まさか、本当にあのトゥーリアの子供だったとはな。
『エレナよ、久しいな。』
「………………あぁ。」
巨大な身体を揺らし、白龍が私達を見下ろしている。
まるで、神話の1ページを見ているかのような気分だ。
「…………契約条件はシャーリィーより確認した。」
『そうか。』
今この場にいるのは、私とマイルズだけ。
そして、トゥーリアのことを知っているのは……私だけか……。
『それで、どうする?今代の当主よ。』
「無論、その条件を呑む。」
『ほぅ。』
トゥーリアの話は、今は御伽噺でしか語られない。
そして、トゥーリア様はこの王国では、二つの呼び名がある。
――守護龍
――そして、破龍。
『良いのか?妾はあの破龍ぞ?』
「それくらい、私だって知っている。」
破龍は、この国では災いの象徴として語り継がれている。
――白龍の再来は、国の終わり。
こんなことは、そこらで遊ぶ子供だって知っている。
まぁ、そんな白龍がこの国を守ってきたなどということは、誰も知らぬ訳だがな。
「だが、それくらいのことはやってやる。」
『…………ふむ。』
「元から、それくらいの覚悟でやっているんだ。今更引き下がれるか。」
『なるほどのぅ……。』
マイルズの覚悟は、本物だった。
メラルダがマイルズの計画を暴いた時は何事かと思ったが、やはりサーシャを救うという気持ちは変わっていないようだな。
「というわけだ、トゥーリア。ひとまず、その龍化を解いてくれ。」
『………………いいじゃろう。』
すると、中を浮いていた巨体が、一瞬で白い霧に包まれた。
その霧は、徐々に縮小していき、やがて人一人分くらいの大きさになる。
『久々じゃな、この姿は。』
そうして霧が晴れると、そこには懐かしい顔があった。
長い白髪を揺らし、その青い眼光は全てを見透かしているようにすら感じる。
そして、何より目を引くのは、その姿には似合わぬアトキンス家のメイド服だ。
「やはり、そちらの方が馴染み深いな。」
『それは、そなたにとってじゃろう。』
彼女の外見には似合わない、しかし、私にとっては馴染み深い格好。
「お久しぶりだな、メイド長。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◆メラルダ◇
その後、白龍が結界を解き、エレナさん達が転移してきた。
どうやら、どうやら奴隷商の拠点は潰したらしく、攫われていた聖獣の子も、無事保護したそうだ。
え?
私は何をしてるかって?
いや、そんなの……。
「大丈夫ですか?」
「………………はい。」
ベッドで横になっているに決まってるじゃないか。
いやね、あの後。
急に身体の力が抜けて、私は車椅子から崩れ落ちたのよ。
理由は、身体の弱ってる中で、強烈な魔力を浴びたからだってさ。
まぁ、要するに、無理をしていたというわけですよ。
「私、ご確認いたしましたよね?」
「……はい。」
「………………はぁ…………、ここからしばらくはお休みになって下さい。私も、メラルダ様の世話を続けるように言われております。」
「はい……。」
今、別の部屋では白龍とその子供、そしてマイルズさん達による話し合いが行われていた。
正直、まさかこんな平和的に進むとは思ってもみなかった。
だって、相手は子供を攫われた大聖獣。
話し合いも何も、力で全てを解決できるような存在だ。
にも関わらず、あの白龍は攻撃どころか、平和的な解決を望んでいた。
やっぱり、それは家が関係してるのかな?
「シャーリィーさんは、あの白龍を知っているんですか?」
「………………はい。あの白龍、トゥーリア様は、アトキンス家の初代メイド長であらせられます。」
「………………………………はい?」
えーと、ん?
ってことは、シャーリィーさんの先輩?!
「私も、昔トゥーリア様には、色々とお世話になりました。」
「いや、まぁ……。」
確かに、大聖獣なら年齢関係ないから、数十年前まで勤めていたっておかしくないけど……。
大聖獣が使用人って……。
何それ……意味わからんないっ!
「あれ?ってことは、あの時やたらに聖獣を殺すことを嫌がっていたのは……。」
「はい。もちろん四神同盟も重要ですが、そちらはどうとでもなりますから。」
「そうですか。」
まぁ、身内を殺したくないってのは、そりゃそうだよね。
「………………どうなると思いますか?」
「………………はい?」
いや、正直シャーリィーさんに聞いてどうすんだよって話ではあるんだけどさ。
でも、あの白龍と一番関係が深いのって、やっぱり現メイド長のシャーリィーさんしかいないと思うんだよね。
「私には、あの白龍のことは分かりませんから。」
「………………………………トゥーリア様は、恐らくお子様のご契約に関しては、ご反対なされていないように感じます。ですが…………三つ目の条件は、少々厳しいのではないかと。」
「え?」
私的には、一つ目か二つ目かと思ってたんだけど……。
まぁ、確かに三つ目も本来は難しいのかもしれないけど、元メイド長なら大丈夫なんじゃないの?
「再雇用に、何か問題でも?」
「はい。トゥーリア様は現在、ギルドから討伐対象として認定されていますから。」
……………………?
あー、そういえばZランクの大聖獣には、そんな言い伝えがあったっけ。
でも、この白龍って元メイド長なんだよね??
………………え?
なんで?
「もしかして、大聖獣ってみんなそうなんですか?」
「いえ、大聖獣の方々の中で討伐対象とされているのは、トゥーリア様を含む二柱のみです。」
「では、あの白龍はどうして……。」
引退した後に暴れたのかな?
「トゥーリア様は、一度王都を半壊させましたから。」
「…………………………はい?」
半壊?
滅ぼしたのではなく?
…………まぁ、それでも結構でかいよね、王都って。
私が見ただけでも凄く大きかったし。
それに、この国にはこのアトキンス家がいる。
そんな国を半壊って、どういうこと?
「詳しいことはお話できませんが、別に悪いことをした訳ではありません。」
「?」
「ただ、私達にできなかったことを、トゥーリア様がして下さったのです。」
??
つまり、元々はアトキンス家が王都を半壊させようとしたってこと?
「うーん……。」
「メラルダ様はそうお気になさらないで下さい。この件は旦那様が何とかして下さいます。ですので私達は、トゥーリア様のお子様を攫った元凶を見つけだすことに集中しましょう。」
「………………そうですね。」
ここまでお読みいただきありがとうございます。
次回の投稿は2025年1月11日を予定しております。
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