21.竜【2視点】
◆メラルダ◇
「ど、どうも……。」
うわ、すごーい。
なんか、貫禄みたいなのあるなー、この人。
でも、やっぱり綺麗なんだよねぇ。
でも、なんでサングラス?
「…………あ、これですか?私はメデューサですので、念の為に着用しています。」
「え……?」
メデューサ?
え、ねぇ、お姉さん、メデューサっていいました?
いいましたよね?
つまり、メデューサがメデューサを石化させたの?!
どんな光景だよっ!
「驚かれましたか?この御屋敷には、他にも私のような魔族は結構いるんですよ?」
「そうなんですか……。」
いや、まぁ、言われてみれば何人かそれっぽい人何人かいたなー。
まぁ、この領は海賊と一緒で種族あんま関係ないっぽいし、魔族がいても不思議じゃないのかも。
流石にメデューサを石化させるメデューサを見たのは初めてだけどね……。
「そういえば、シャーリィー。あなたどうやってあの男に気づけたのよ。」
「え?」
「えって……。あの男、私ですら戦闘になるまで分からなかったのよ?」
そういえば、あの時……
私も一瞬魔力探知はしたけど、あの男の気配はなかった。
正直、もしシャーリィーさんに助けられてなかったら、私今頃あの世だったよね……。
「うーん、勘?」
「勘って……。」
「上手く説明できないのよ。強いて言えば、不自然な空白みたいなのがあったの。」
「それって、探知阻害の結界みたいな感じ?」
「そう、そんな感じ。」
うーん。
よくわからないけど、私達の船を襲ったあの化け物と同じ感じかな?
あの時も、あいつは魔力探知に引っかからなかった。
あいつは魔力以外のところが異質すぎたから気づけたけど、もしそれがなかったら、多分この男みたいな奇襲もできるんだろな…………。
…………あれ、何か忘れてるのような……。
「…………ぁ。………………そう言えば、シャーリィーさん。」
「はい、なんでしょうか。」
「この男が襲ってくる前、何か言いかけてませんでした?街の方が何とかって……。」
「…………………………。」
あ、これ、忘れてたやつ?
「…………シャーリィー。何か、街の方に竜っぽいのがうじゃうじゃいるわよ?」
「……………………い、いるわね…………。」
ん?
竜?
ドラゴンじゃなくて?
「…………これ…………竜よね?」
「うん、多分…………。」
うーん。
私の魔力探知だと、そこまで遠くは分からないなぁ……。
まぁ、でもなんとなく魔力の大きいのが沢山いるなーってのは分かる。
っていうか、結構遠いはずなのに魔力を感じるだけで異常なんだけどね……。
探知範囲にいないのに、魔力だけは感じるとかおかしいでしょ普通……。
「………………どうする?」
「………………騎士団に任せましょう。」
「そうね。」
まぁ、確かに騎士団ならエレナさんもいるしね。
エレナさんは屋敷に…………っていない!?
どこ行ったの!?
「…………あれ、エレナさんは?」
「エレナ様なら、メラルダ様方が戻りになる前にお出になられました。」
「え?」
それ、大丈夫?
多分奴隷商の拠点攻めでもしてるんだろうけど……。
ヤバくない?
「大丈夫ですかね?」
「?………………あぁ!それなら心配ありませんよ。」
ミッテランさんはそう言って、今竜がいるであろう街の方向を見つめた。
いや、ほらね?みたいな雰囲気出されても分からないんですっ!!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◆バッティアート◇
「こりゃ、一体どうなってんだ……。」
晴天である今日。
本来なら、多くの住民が街道を歩き、街が活気に満ちてるであろう時間。
しかし、今は街に活気一つなく、誰もが建物の中に避難し、上空を徘徊する無数の影が太陽の光遮っていた。
「来たか、バッティアート。」
「リシェ。」
街道を部下を連れて歩いてくるのは、二番隊隊長、リシェだ。
彼女は私の隣まで来ると、顔を上げて上空を占領する奴ら
上空を徘徊する、無数の竜。
こんな光景、俺だって始めて見る。
「こんなに居たら、もう希少種じゃねぇじゃねぇか。」
「そうじゃのぅ。儂もこんな光景は初めてじゃ。」
そう言ってリシェが耳をピクピクさせた。
リシェは、この領でも珍しい獣人族だ。
その寿命は俺達人族の何倍の長く、俺が餓鬼の頃からこのアトキンス騎士団で隊長をしてる。
そんなリシェが始めて見るってんだがら、これは間違いなく異常事態なんだろう。
「ここまで、何か仕掛けてきたか?」
「いいや、ずっとこの調子じゃ。誰を襲うこともなく、ただ徘徊しておるだけじゃよ。」
「そうか……。」
今この場にいるのは、一番隊と二番隊のみ。
三番隊と四番隊は任務で出ており、直ぐには戻れそうにない。
つまり、今ここにいる俺達で、この竜の群れを何とかしなきゃいねぇわけだ。
「あ、そうだ。団長は屋敷にいたよな?」
「おるにはおるが、今は手が離せんらしくてのぅ。」
「はぁ?」
「サーシャの件じゃ。致し方あるまい。」
「……………………そうか。」
なら、仕方ねぇか。
あの人はたまに意味わかんねぇことはするが、意味のねぇことはしねぇ。
つまり団長が離れられないってことは、サーシャ嬢の方が緊急を要するってことだ。
「だが、俺達だけでなんとなるのか?あれを。」
「無理ではあるまい。まぁ、彼奴は別じゃがな。」
そう言ってリシェが指したのは、竜の群れの更に上空。
「なんかいるのか?」
「強化して見てみぃ。」
「……………………ありゃ、なんだ?」
目を強化すると、そこには確かに何かがいた。
他の竜とは、明らかに別格。
神々しさすら感じさせるほどの巨大を揺らし、上空からこちらを見つめる巨大な竜。
――いや、あれは…………龍か?
「…………洒落にならなくなってきたぞ。なんだありゃ……。」
「恐らく、大聖獣と言う奴じゃろうな。」
「…………おいおい。大聖獣の白龍だと?そんなの、この世に一体しかいねぇぞ?」
「あぁ。どんな冗談じゃろうな。」
そこ世には、聖獣の始祖と呼ばれる存在がいる。
それが、
――大聖獣
大聖獣はこの世に四体いて、そのうち二体は未だ不明。
残りの二体は既に確認させていて、危険度も公表させている。
そして、白龍は、その公表させている大聖獣の一体だ。
そして、その危険度は、
――Zランク。
討伐不可能をされている、正真正銘の怪物だ。
「流石にありゃ、団長じゃねぇと無理だな。」
「そうじゃのぅ。」
リシェはそう言うと、鋭く白龍を睨めつけた。
自分が勝てないと分かってしまうことが、相当悔しいんだろう。
昔から、龍と獣、そして鬼というのは敵対関係にある。
……というより、神が三柱もいるもんだから、どの神が一番かとか言い合っているうちに、眷属達が勝手に仲違いしただけなんだが。
そしてそれは、リシェも例外じゃない。
なんなら、こいつは誰にでも突っかかるわけじゃねぇから、それだけマシな方だ。
中には、鬼だからって理由だけで殺そうとする獣人族もいるらしい。
「ん?」
「あ?どうした、リシェ。」
「彼奴………何かしおった……。」
「何?」
何かしただと?
だが、これと言った変化は感じねぇ。
「あいつは何をした?」
「分からぬ。ただ、彼奴の魔力を一瞬感じたっていうだけじゃ。」
「なるほどな。」
だが、ここまで何もしてこなかった奴が、初めて魔力を微量でも動かしたんだ。
これに意味がないとは思えない。
「…………仮にリシェの言ったことが事実だとして、なんで奴は攻撃してこねぇんだ?」
「…………何かを探しているようじゃのぅ。」
ってことは、さっきリシェが感じた魔力は魔力探知か?
「探してる?何をだ?」
「うーむ……。」
何かを探しているってこたぁ、それがこの街にあると確信してるってことか?
だが、白龍の探すもんなんて、そんなもん一体どこに……。
「Graaaaaaaaa!!!!!!」
『Graaaaaaaaa!!!!!!』
「「ッ!!」
突如、白龍が耳をつんざく咆哮を上げた。
それに続き、竜達も一斉に咆哮を上げる。
「なんだッ?!」
「………………これは……マズイのぅ……。」
そうして、竜達がゆっくりと一つの方向に移動を始めた。
「おいおい……冗談だろ。」
「戯け!そんな冗談があるかっ!」
「っ……。戻るぞッ!!」
来た道を走り、竜達の進行方向に走る。
――まさか……まさかだよなッ……?!
何が原因なのかは分からない。
だが、その方向にあるもんなんて、一つしかねぇ!!
「あいつ、屋敷を狙ってんのかッ!!」
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次回の投稿は2025年1月5日を予定しております。
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