15.魔法のイヤリング
他種族……他種族ねぇ。
まぁ、珍しいんだろうけど、でも奴隷でしょ?
なら、別にありえないことではないんじゃないかな?
「何が問題なのかって顔をしているな。」
「へ?」
「そもそも、お前は何故ベイリー王国が奴隷売買を禁止したのか、知っているか?」
「いえ、何も。」
知ってるわけないでしょ、海賊なんだから。
「無駄な戦争を避けるためだ。特に人族だけならともかく、他種族まで売買されては、本格的に三神同盟を脱退させられかねんからな。」
「な、なるほどー。」
はい、意味分かりません!
いやね、三神同盟は聞いたことあるよ?
ほんのすこーしだけどね。
昔エリーヌから教えてもらった気がする。
でも、奴隷商ってどの国にもいるイメージだし……。
今更戦争になるのかな?
「…………お前、わかってないだろ……。まぁ、いい。とりあえず、多種族が捕まっているのなれば、国的にも大問題なんだ。」
「陛下を呼び戻して参りましょうか?」
「あぁ。悪いな、フォルジュ。これを持っていけ。」
そう言ってマイルズさんは、フォルジュさんに自分が付けていた一つの指輪を渡した。
「ありがとうございます。」
指輪を両手で丁寧に受け取ったフォルジュさんはそういうと、部屋を出ていった。
というか、何今の指輪。
ご褒美てきなやつ?
もしかして、メイドさん達にも同じようなことしてるのかな?
………………ないわー。
「………………あれは、王都内で結界の効果を受けなくする指輪だ。」
あー、そういえば、王都に行く時に、王都内では転移できないとか言ってたっけ?
でもさ、それって不便じゃない?
だって、あんな高そうなやつ、絶対量産できないでしょ。
ってことはさ、王国騎士団も転移できないってことじゃない?
「…………不便ですね。」
「あれは貴族などの一部の者に渡されるものだ。王国騎士団には別の形のものが渡されている。」
「そうですか。」
ですよねー。
やっぱり騎士団転移禁止はヤバいよねぇ〜。
「とりあえず、私はもう一度陛下と話してくる。お前は一度、屋敷に戻っていろ。」
「はーい。」
やっぱり私、ここまで来る意味あった?
あの変態に襲われかけただけじゃね?
あー、こんなことなら、やっぱり屋敷のベットで寝ておけばよかったぁー。
「フォルジュが戻ってきたら、屋敷まで送って貰え。シャーリィー、お前はこいつに同行しろ。」
「かしこまりました。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「シャーリィーさん。やっぱり私、最初からここにいた方がよかったですよね?」
「………………まぁ、確かに、そうですね……。」
フォルジュさんに屋敷まで送って貰った後、私はそうそうに溜まっていた愚痴をシャーリィーさんに聞いてもらった。
シャーリィーさんは優しいから、最初は『そんなことありませんよ。』と言って、私が行ったことに意味はあったと言ってくれた。
でも、あの王様の話をした瞬間、この表情である。
多分、シャーリィーさんも覚えがあるんだろうな。
だって、あいつのことには擁護したくないって思いが顔に出てるもん。
「やっぱり、シャーリィーさんもあの王様嫌い?」
「……………………はい。」
「仲間だね、愛してるよ、シャーリィーさん。」
「え………………へ…………?」
うーん。
やっぱり、この髪のせい?
そういえば、鏡見てなかったな、私。
「さて、どうなってるんだろ、私。」
鏡〜鏡〜。
あー、あるけどギリギリ歩かないと届かないな。
まぁ、これくらいなら歩けるからいいけど。
「いけませんよ。しっかり座ってください。」
「でも……。」
「でもじゃありません!歩けると言っても、治ったわけではないのですよ?鏡くらい、私がお取りしますから。」
「…………はい、お願いします。」
「はい!お願いされます!」
やっぱりシャーリィーさんなんかおかしくない?
この髪のせい?
髪のせいなの?!
そうして、シャーリィーさんから、鏡を受け取り、顔全体が見えるように、鏡に写す。
さて、どうなっていること………………………………………………………………………………………………………………ん?
……………………なーんか見た事あるぞ?この顔。
え、私、オリビアさんになってる?
しかも、なんか目の色も変わってるし。
いや、でも目と髪の色が変わっただけで、こうも似るものかな?
「………………似すぎじゃない?」
「…………はい。私も驚きました……。」
なんか、オリビアさんとシャーリィーちゃんを足して割ったような感じ。
子供って言われても頷ける見た目だ。
こんなに似てたら、そりゃ隠し子とか言われるよねぇ。
まぁ、隠してないから隠し子じゃないんだけど。
「このイヤリング、オリビアさんに似せる効果とかあります?」
「いえ、それは普通の変装魔道具だったはずですが……。」
えー、つまり、元から似てたってこと?
色があまりにも違うから気づかなかったのかな?
えー、嘘でしょ。
これ、血縁者だって言われても否定出来ないレベルよ?
多分、すんなり家族に交じっても違和感ないよ?これ。
「…………まぁ、考えても仕方はないか。」
そもそも、この姿だって一時的だし。
前の姿の時はそんなこと思われてる様子もなかったしね。
とりあえず、今はサーシャちゃんのためのことを考えよう。
「いつ頃、拠点に攻めるんですか?」
「旦那様の合図があれば、すぐに攻めるかと。そして、恐らくアトキンス騎士団だけではなく、王国騎士団も動くでしょうね。」
え?
ここって、アトキンス領でしょ?
それに、エルナさんもいるし、戦力的には問題ないはずだけど……。
「なんで、王国騎士団が?」
「種族間の問題になるかもしれない以上、表向きにでも、捕らえられた者達を、国の騎士団が救ったという形にしなければなりません。アトキンス騎士団は、国の戦力ではありませんからね。」
「なるほど……?」
複雑なんだなぁ……、国って。
やっぱり私には海賊の方があってたんだな。
良かったよ、貴族とかに転生しなくて。
「ただ、それまでに聖獣が攻めてきた場合は、アトキンス騎士団も動かざるえません。」
「そこなんですよねぇ……。」
そう、仮に奴隷商が聖獣の子を捕らえていたとして、はいどうぞと親に返せない事情が私達にはある。
まぁ、聖獣からしたら、知るか!我が子を返せっ!って話なんだけどね。
そして、恐らく今回のアトキンス騎士団と王国騎士団合同の拠点制圧には、エレナさんも加わるはず。
流石に、自分の領土での問題なのに、騎士団長が出向かないのは王国騎士団に失礼だからね。
だからこそ、万が一聖獣が攻めてきた場合、残りの騎士団と、使用人さん達、そして私でこの屋敷を守らなくてはならない。
「でも、あんまり長くは持たないと思います。」
「…………そうですね。」
今この国に聖獣が襲ってこないのだって、奇跡に等しいと思う。
だって、聖獣が我が子の魔力を探知できないはずがないのだから。
それに、聖獣ほどの存在となれば、探知範囲だって私達の想像を絶するほどに広いはずだ。
というか、そもそもエルフ達は聖獣の子供をどうやって攫ったんだろう?
いくら魔法が得意なエルフでも、聖獣相手では意味が無い。
寝ている間ならいけるって?
無理無理!
私だってそんくらいわかるよ!
………………疲れてなければね……………。
「それに、何度も言いますけど、そもそも聖獣自体がいなくて、ただ馬鹿なエルフが後先考えずやったって可能性もあります。」
「それはそうですが。メラルダ様の仰る通り、実際奴隷商と思われる拠点は見つけました。私も信じられませんが、もしサーシャ様の魔力を負担できるものがいるとすれば、それは聖獣か、上位精霊しかありえません。」
まぁ…………確かに。
「………………とりあえず、私達は仮に聖獣がいた場合のことを考えましょう。」
「はい。とりあえず、どうやって契約をするかですね。」
そう。
シャーリィーさんの言うとおり、もし仮に私の言ったことがあってたとして、問題はそこから。
どうやって聖獣なんて格上の存在と契約するかだ。
サーシャちゃんの治療がギリギリ間に合ったのしても、聖獣が無理と言ったらそこまでだからね。
「とりあえず、私達はそこを考えましょう。」
「はい。ペンと紙を持ってまいります。」
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