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11.王都

「私達は王都まで向かうぞ。」

「はい、お願いします。」


 そこはマイルズさんに任せよう。

 シャーリィーさんからの報告もまだだし、私も身体を休めないと。

 朝からずっとこんなだし、もうへとへとなんだよね。


 やっぱり首っこむべきじゃなかったかな~。


「何を言っている?お前もだ。」

「…………え?」


 こいつ、何言ってんの?

 私行かないよ?


「……メラルダ。どちらにしろお前は王命で行かなければならないだろう。」

「…………エレナさん。私は怪我人ですよ?」

「行かなければ、本格的にただの罪人だぞ?」


 ………………。

 

 ですよねぇ……。

 行かないと、私ただの海賊ですもんねぇ……。

 

 海賊の都合なんて、気にしてくれるはずありませんよね。

 そうですよねッ!!

 畜生ッ!!


 あれ?

 でもさ、確か王都に行くには変装しないといけなかったよね?

 


「で、でも、変装する必要があるんですよね?!流石に直ぐには無理だと思うなぁ〜。うん、やっぱり」

「それなら、これをつけろ。」


 そう言って、エレナさんは魔法で一つの箱を取り出した。

 それは、高そうな木製の箱。

 

 そして、私にとっては嫌な予感の詰まった箱でもある。


「これは変装用の魔道具だ。これは私の予備だが、お前に貸してやる。」

「…………………………わー、うれしぃー。」

「まったく。子供かっ……て、子供か。」


 いや、嬉しいわけないでしょッ!!

 

 それに、私子供だしッ!!

 子供に無理させすぎだぞこいつ!!

 反省しろッ!!

 有休よこせっ!!

 

 などと内心で愚痴りつつ、私は渋々その箱を受け取った。

 正直、このまま返却したい気持ちでいっぱいだ。

 

「……行くぞ。」


 そうマイルズさんが言うと、彼の付けていた指輪の一つが光った。

 そうして、地面に魔法陣が展開されていく。


「これは…………。」

「転移指輪だ。」


 マジ?

 ってことは、こんな小さな指輪に魔法陣が刻まれてるの!?

 

 そんなのありですか?

 いや、ありだからあるんだけどさ……。


「マイルズ。私はロラのサポートに行く。…………だが、分かってるな?」

「あぁ、あとで話そう。」

「…………ではな。」


 そう言って、エレナさんは姿を消した。


 やっぱり、発動速度は魔法の方が圧倒的に早いらしい。

 いや、それでも転移をここまで当たり前のように使ってる時点でおかしいんだけどね?

 あれ、簡単な魔法じゃないはずなんだけどな……。


 っていうか、エレナさん、怒ってたな〜。

 まぁ、この話にエルフが関わってるなら、エレナさんも他人事じゃないだろうから、仕方ないか。


「…………俺達も行くぞ。」

「メラルダ様は、私が押させていただきます。」

「………………お願いします。」


 そうして、フォルジュさんが私の後ろに回った。


 さて、こうなってはもう逃げられないぞぉ〜。

 腹を決めろ私ッ!!

 

 ………………よし!

 さっさと挨拶して、さっさと帰ろうっ!!


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「あの子、マイルズ様方のお子さんかしら?」

「いえ、でもそんな発表はされていなかったはずよ?」


「あの子、サーシャ様より年上だよな?」

「ってことは、隠し子かしら!?」


 周囲から、私の話が次々と飛び交う。

 まるで、英雄の凱旋のようだ。

 多くの人々が道の端に集まり、その人々から私達を守るように、憲兵達が道を作っている。


 正直に言って、凄く居心地が悪い……。

 例えるなら、知らないうちに英雄になっていたかのような、そんな感じ。

 まぁ、実際それに近くはあるんだけどさ……。

 

「メラルダ様、お似合いですよ!!!」

「…………オリビア、お前の生き別れとかじゃないよな?」

「……いえ、そんな人いなかったはずだけど……。」


 ちょっとそこ!!

 内緒話ならもっとこそこそとしれくれます!?

 聞こえてるんですけど!!!


 ………………さて、なんでこんな状況になっているかというとですね。

 

 あの後、私達は無事王都前まで転移した。

 そうして王都に入る前、フォルジュさんに言われて木箱に入っていた、綺麗な紫色のイヤリングをつけのだ。

 んで、その結果がこれである。


「メラルダ様、もっとお顔を見せて下さい!」


 というか、フォルジュさんの反応はマジで異常なんだけど!?

 なに!?

 っていうか、誰!?

 もう別人みたいな

 

「あの、オリビアさん。私、おかしいですかね?」

「え?い、いや、おかしくないわよ?とっても綺麗!」


 ………………取ろうかな……。


 そうして、私は変化した自分の髪を見た。

 

 いや、確かにオリビアさんと似た髪色ではあるんだけど……。

 似てる?

 いや、似てないでしょ。

 どこまで変わってるのか知らないけど、流石に家族でも血縁でもない私達が、そこまで似るはずがない。


 …………そう思いたい。


「まだですかね?居心地悪いです、ここ。」

「それは私達も同じだ。もう少しだから我慢しろ。」


 今ここにいるのは私を除いて、アトキンス夫婦、そしてフォルジュさんの計四人。

 お分かりかな?

 そう。


 ――美男美女揃いである。

 

 だからさ、私への注目を抜きにしても凄いのよ。

 

「キャャ!!マイルズ様っ!!」

「オリビア様っ!愛しておりますぞぉぉ!!」

「フォルジュちゃん俺を抱いてくぇぇえ!!」

 

 ほらね?

 

 そんな多くの黄色と、茶色の声が飛び交っているのだ。

 

 っていうか、これは仕方ないことだけど、フォルジュさんに関しては男だしね?

 それに、夫婦にかける声がそれでいいのか民よ……。

 侮辱罪になるぞ侮辱罪に……。

 

 っていうか、人族多くない?


「…………なんか、人族多くないです?」

「当たり前だ。ここは人の国だぞ?私の領が特殊なだけだ。」


 あ、そっか。

 海賊なんて種族統一とかほぼなかったから、こういう一種族だけの場所って違和感あるけど、本来これが普通なんだよね。


 すると、アトキンス夫婦は、一つの大きな建物の前で足を止めた。

 

「お前達はこの宿で待っていろ。私達は先に陛下に報告してくる。」

「かしこまりました。」

「あ、はい。」


 そこは、周囲の建物とは一線を画す、大きな建物だった。

 どこか歴史を感じる見た目をしながらも、高級感を感じさせる外装。

 そして、そこから出入りする人達は、貴族や強そうな人達ばかりである。


「行きましょう。」

「はい。」

 

 そうして、フォルジュさんとともに中に入ると、恰幅のいい人が出迎えてくれた。

 なんか、めっちゃ手をコネコネしてる。


「ようこそお越しくださいました、フォルジュ様、お嬢様。本日はどのようなご用向きで?」

「旦那様と奥様のお部屋と、こちらのメラルダ様のお部屋の二部屋です。宿泊期間は分かりませんので、とりあえずこちらを。」


 そう言って、フォルジュさんはじゃらりと音のなる袋を取り出した。


「これはこれは、ありがとうございます!それでは、ご用意致しますので今しばらくお待ちください。」


 そういって、コネコネおじさんは奥へ走っていった。

 っていうか、もしかしなくても、さっきの袋の中身ってお金?

 結構入ってそうだったけど……。


 そうして少し待つと、コネコネおじさんが走って戻ってきた。


「大変お待たせいたしました!それでは、ご案内致します!」


 そうして、コネコネおじさんは私達を部屋まで案内してくれた。


「それでは、ごゆっくりどうぞ。」

「ありがとうございます。」


 そうして、フォルジュさんが扉を開けると、そこには綺麗な大部屋が広がっていた。

 流石にさっきまでいた部屋よりかは大きくないけど、その家具はどれも高そうで、品質も良さそうだ。


「気に入っていただけましたか?」

「はい、とても。」

「それは良かった。」


 そう言って、フォルジュさんはにっこりと笑った。

 こういう笑顔が、男女両方からモテる理由なんたろうな。


 そうして部屋を巡ると、奥の方に透き通るガラスの壁があった。

 その壁の先には、数々の建物、そうしてその奥には、巨大な城が見える。


「これは……。」

「魔法ガラスですよ。」


 そう言ってフォルジュさんが近くのボタンを押すと、王都の景色が消え、まるで部屋の壁の一部のようになる。


「この壁は、外側からは見えませんので、ご安心ください。」

「凄い……。」


 やっぱり、王都って凄いんだな……。

 こんなの、海賊時代にはみたこともなかった。

 

「…………あの、メラルダ様。」

「どうしました?」

「その、先程は、大変失礼を致しました。」


 フォルジュさんは私の目の前に立ちそう言うと、突然頭を下げた。

 

 ん?

 なんのこと?


「私は、()()()です。ですから、精霊族がエルフやハイエルフのお願いごときで契約を結ぶはずがないこと知っていました。ですが、もしかしたらという思いで、旦那様の計画に乗り、メラルダ様に怒声を浴びせてしまった。本当に、申し訳ございませんでした。」


 うん、情報量多すぎっ!

 

 っていうか、妖精族?!

 妖精族なのフォルジュさん?!

 ってことは、シャーリィーさんも妖精族?!

 道理で妖精みたいに綺麗なわけよ!

 みたいじゃなくて、妖精なのねっ!!


 それで、えっと、怒声?

 ……………………あー、あのマイルズさんに私が怒った時のあれか。

 確かに、あの時のフォルジュさんはちょっと怖かったけど……。


「私は、フォルジュさんに謝られるようなことをされていませんよ。あの時だって、普通なら侮辱罪で死刑です。」

「…………ですが……。」


 いや、本当に謝られることはされてないんだけど……。

 というか、そもそも私がこの件に協力しているのは、ただの自分の自己満足だ。

 

 あの時マイルズの計画をばらしたのも、気に食わなかったから、全部バラしちゃえっていう完全に感情任せの行動で、深い意味なんてない。

 だから、フォルジュさんの主を思っての行動は、正しかった思う。


「本当に、気にしないで下さい。それじゃ、マイルズさん達が来るまで寝ますね。流石に、だいぶ疲れました。」

「………………かしこまりました。それでは、旦那様がいらっしゃったらお声かけしたします。」

ここまでお読みいただきありがとうございました。


次回の投稿は2025年1月16日を予定しております。


また、誤字報告も合わせてお願いいたします。

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