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06.病気

明けましておめでとうございます。


みなさんは元日を、どのようにお過ごしになられたでしょうか?

ちなみに私は、何をすることもなく、ただゲームをしていました。


………………………………一緒に過ごせる友達ほしぃぃ!!!!


というわけで、今年こそは恋人出来たらいいなとか思ってます。

では、今年最初の作品です。

どうぞっ!

 何が頑張れだッ!!

 ふざけんな昨日の私ッ!!


 ってなわけで翌日ッ!!


 朝食を済ませてた私は、シャーリィーさんに車椅子を押され、そのままオリビアさんの部屋へと向かった。


 その時の足取り?

 めっちゃ重かったよッ!!


 そうして、オリビアさんの部屋へと向かうと、既にオリビアさんはエレナさんとともに自室の前で待っていた。

 

 ――――悲しそうな顔でね。


 

 いや、分かってたよ。

 これ多分、相当重い内容なんだよね。

 でもさ、これ本当に大丈夫?

 海賊だった私が知ってもいい内容なのかな?

 あとで殺されたりしないよね!?


 あーもうッ!

 ふざけんな昨日の私ッ!!

 

「それじゃ、行きましょうか。」

「…………はい。」


 そして案の定、みんなの足どりは凄く重かった。

 あの、にこやかな表情を崩さなかったシャーリィーさんでさえ、悲壮感を漂わせている。


 うん、これ誰か死んでてもおかしくない雰囲気です。

 直ぐに回れ右させてッ!!

 

 なんて言えるはずもなく、静かな廊下を無言で進む私達。

 車椅子の音が、昨日よりずっと大きく聞こえる。


 そうして、先導していたオリビアさんは、一つの部屋の前で足を止めた。


「着いたわ。ここよ。」

「…………。」


 嫌な予感はしてたけど、これは想像通り…………いや、想像以上かもしれない。

 

 だって、()()()()()()なんて札、普通かける?

 自分の()()()()だよっ?!


「こんなところで、なにをしていらっしゃるのですか?」

「「「「っ――――。」」」」


 その時、突然聞き覚えのある声が背後から響いた。

 そして、みんながその方向を向くと、そこにはフォルジュさんが立っていた。


「お、お兄様!?」

 

 音も、気配さえ感じなかった。

 それなのに、フォルジュさんはまるで初めからそこにいたかのように、息も切らさず穏やかな笑みを浮かべている。


「…………………………サーシャに、この子を会わせに来たのよ。」

「………………旦那様に、許可はお取りになられましたか?」

「…………………………………………許可?」


 その瞬間、強烈な圧迫感が私達を襲った。

 それは、威圧。

 ただし、一瞬殺気かと思う程に、強い怒りを含むものだった。


「………………オリビア、サーシャの近くだ。」

「っ――――。」


 しかし、エレナさんが宥めるようにそう言うと、オリビアさんは我に返ったかのように威圧をやめ、俯いた。


「フォルジュもだ。何を考えている?」

「……申し訳ございません。」

「はぁ――。ここには私も、シャーリィーもいる。お前は下がれ。」

「…………はい。奥様、軽率な発言、申し訳ございませんでした。」


 その謝罪には、確かに反省の色が伺えた。

 フォルジュさんも、悪気があったわけじゃないのだろう。

 

「…………いいのよ。私こそ、ごめんなさい。」

「皆さまにも、ご迷惑をお掛けしました。」


 すると、フォルジュさんの背後に、裂け目のようなものが現れた。

 そして、フォルジュさんが振り返りその中を通ると、その裂け目は何もなかったかのように消えていった。

 多分、ここに来る時もこれを使ったんだろう。

 気配も、魔法の痕跡すら残さずに。


「凄い……。」

「あれは時空魔法だ。同じ時空魔法の転移よりは簡単だが、それでもあそこまでの完成度で行使できるのは、フォルジュとシャーリィーくらいだろう。」

 

「それでは、開けますよ。」


 すると、シャーリィーさんがそう言って、扉を軽く叩いた。


「…………どなたです?」

「私よ、入るわね。」


 今まで聞かなかったシャーリィーさんのため口。

 そうして扉を開けると、そこにいたのは、一人のメイドさんだった。


「…………例の海賊が、なぜここに……。」

「ロラッ……!」


 ロラと呼ばれたメイドさんは、一瞬私に敵意を向けるも、すぐにシャーリィーさんに嗜められた。

 

「……申し訳ございません。……………………ロラです。このお屋敷でサーシャ様の専属メイドをしております。」

「め、メラルダです。」


 ――――凄い。

 

 多分、私と同じ人族。

 それも騎士でもなんでもないメイドさんなのに、バッティアートと同じくらい強い。

 それに、()()()()()()()()()()

 これほどの魔力操作を、こんな若いうちに習得するなんて……。

 

「メイド長、これは?」

「サーシャ様にご挨拶をね。私もエレナ様も、オリビア様もいるだから安心して。」

「……………………。」


 それから、しばらく、ロラさんは無言で私を見た。

 何かを見定めるかのように、全身を。

 

「………………はい。」


 そうしてロラさんは、未だ不服そうな様子ではあるものの、すっと部屋の壁の方に移動し、道を開けてくれた。

 

 部屋に入ると、そこには一つの大きなベッドがあった。


「ベッド?」

「えぇ。」


 オリビアさんと共にベッドの側に寄ると、そこには寝ている一人の少女がいた。

 ただ、その顔色は酷く青白く、骨が浮き彫りになるほどにやせ細っている。

 明らかに、異常だ。


「この子は…………。」

「サーシャ・アトキンス。私の娘よ。」


 そう言ってオリビアさんはそっとサーシャちゃんの頭を撫でた。

 本来はオリビアさんか、マイルズさんと同じ美しい髪が生えてるはずの頭部も、今は全てが抜け落ちている。


 既に瀕死…………だと思う。

 今は魔法で寝かさせているようだけど、いつ死んでもおかしくないように見える。


「………………?」


 しかし、何故かその魔力は、衰えるどころか膨れ上がっているようにも見えた。

 まるで、体内に収まりきらない魔力が漏れ出ているかのような……。

 

「魔力過多症?」

「「「「っ――――――!!!」」」」


 あ、あってるんだ。

 最初は、身体が弱り、魔力操作が効かず、体内で生成された魔力がそのまま出てしまっているのかと思ってた。


 でも、それにしては魔力が濃すぎたのだ。

 身体の衰えた人族が、これほどの魔力を持つはずがない。


 だから、もしかしたらって思ったけど……。


「触っても?」

「えぇ。どうぞ。」

「こんにちは、サーシャちゃん。」

 

 オリビアさんの許可を貰い、サーシャちゃんに触れる。

 そうして私は、そっとサーシャちゃんを撫でた。


「………………?」

「どうした?」

「今、魔力が増えた?」

「あぁ、サーシャは遺伝で魔力が多くてな。扱えないからこうなっているのに、魔力量だけはどんどん増えていく。皮肉なものだ。」


 つまり、魔力が外に出ても、その分がすぐに生成されてしまうってこと?

 それは……確かに辛いな。


 この小さな身体に、どれほどの魔力が暴走しているのか、私には想像もできない。

 

 ………………でも、()()()()()()()()()()()()()()()()()


「……どんな治療をされているんですか?」

「医者から処方される、 ()()()()()()()と、毎日回復魔法をかけている。」


 魔力を減らす薬…………ねぇ。

 だから、サーシャちゃんは、少しとはいえ魔力を外に出せてるってことか。

 なるほどな~。

 

 でも、それって()()()()()()()()()

 体内の魔力を出しても、その分はすぐに生成されてしまう。

 ってことは、この薬の意味は何?

 現実維持?

 ……………………………………だったらいいけど。

 

 ――あぁ、()()()()()()()

 

「………………………………薬を見せていただけませんか?」

「それは出来ません。」

「そうですか。」


 ロラさんは確固たる意思でそう言った。


 まぁ、そうだよねぇ。

 仮に私の予想があってたとして、薬になんの対策もしてないはずがない。


「…………いいわ、薬を彼女に。」

「オリビア様ッ!」


 しかし、オリビアさんは私を見たあと、躊躇する様子もなくロラさんにそう言ってくれた。

 

 その言葉にロラさんが悲鳴にも似た声を上げ、手に黒い靄を出現させる。

 そして瞳からは、敵意にも似たものが感じられた。

 

「………………ロラ、お願い。それに、今日はまた()()()()が来る日でしょ?」

「……………………分かりました。」


 しかし、お医者様が来るという言葉で我に返ったロラさんは、スっと黒い靄を霧散させた。


 本来、こんな攻撃的なメイドさんではないんだと思う。

 だって、化粧で隠してるけど、彼女の目の下には大きな隈がある。

 毎日、寝る間も惜しんでサーシャちゃんの介護をしているのだろう。

 

 そうして、ロラさんは近くの棚から一つの紙の包みを取り出した。


「………………これが、サーシャ様のお薬です。」

「ありがとうございます。」

 

 そうして私は、その包みを開き、中にあった粉を()()()()()

 

「ッ――。けほっけほっ……。」

「何をしているッ!?」


 これには、流石のエレナさんも声を上げる。

 

 やっぱり水もなしに飲むと咽るよね薬って。

 でも、()()()()()()()


「…………はぁ……………………。」

「メラルダ…………様?」


 多分、この場にいるみんなは気づいてないんだろうな。

 まぁ、私も知らなければ気づかなかったし。

 

 ………………上手くやったもんだよ、まったく。


 薬の効果をコントロールし、普段よりも多く出てしまっている魔力を抑え込む。


「エレナさん。」

「……なんだ。」

「魔力過多症ってどん病気か、ご存知ですか?」

「ふざけているのか?」

「いえ、至って真面目です。」


 意図が分からないと言った様子で、エレナさんは私を見ると、はぁ……とため息を吐いた。

 

「………………魔力保有量の成長に身体がついていけない、またはその魔力を制御出来ないことにより生じる、魔力暴走。魔力を体外に出すことも困難になるという、()()()()のことだ。」


 そう、エレナさんの言うとおり。

 魔力過多症は不治の病。

 緩和させることはできても、完治することのない、永遠の呪いだ。

 

「ですが、抑える方法ならありますよね?」

「……えぇ。魔物との契約よね。」

 

 オリビアさんの言う通り、この病気を緩和されるには、誰かが強制的に魔力を放出されるしかない。

 

 その方法として用いられるのが、召喚属性魔法の”契約(コントラクト)”だ。

 この魔法は、魔物と契約をすることで、いつでもその魔物を呼び出せる。

 そして、その時に魔物が必要とする魔力を、全て召喚者が負担するのだ。


 だから、魔力の生成量と同じくらいの供給量の魔物をずっと召喚しておけば、この病気はだいぶ緩和される。

 そして、何故か魔力過多症の人は、召喚属性の適性があるのだ。

 

 

「もちろん、サーシャもやったわ。でも、この子にその適正はなかった。」

「なぜですか?」

「聖属性が発現したからだ。」


 ――聖属性。


 それは、世界的に見ても保有数の少ない、稀少な属性だ。

 しかし、聖属性は魔物とは対を成すものであり、魔物にとって聖属性の保有者は天敵ともいえる。

 また、魔力自体も属性に影響され、聖属性を帯びてしまうことも多く、魔物との契約が難しい。


 だから、サーシャちゃんにとっては、一番いらない属性だ。

 

「なるほど。」

「どういうこと?」


 オリビアさんは困惑した様子でそう言った。


 一つだけ、分からないことがあった。

 それは、何故サーシャちゃんが魔物と契約しないのか。

 何故なら、これが魔力過多症を緩和させる唯一の方法だからだ。


 そして、これでだいたい分かった。


「…………エレナさん、この薬の効果はご存知ですか?」

「あぁ、体内の()()を減らす効果だ。」

「はい、その通りです。ですが、それだけではありません。」

「なに?」

ここまでお読みいただきありがとうございました。


次回の投稿は2025年1月4日を予定しております。


また、誤字報告も合わせてお願いいたします。

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