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国王陛下とそれぞれの覚悟 

陛下はお茶を飲むと話し出された。


「マイネンは大叔母様の手助けもあり、無事捕らえる事が出来ました。裏の繋がりも検挙出来て、マイネンは全て吐いたあと死罪が確定しております。マイネンの一族は全て取り調べ、それ相応の罪を償わせます。他国との繋がりは少なからずあるようですが、大臣や高位貴族は繋がりが無い者の方が少ないですからな。何処まで他国がこの件に関わっているかは調べている最中です。ここまでジェーン様にお話しするのは、誘拐の件があったからですな。マイネンは貴女が欲しかったようですが、貴女がこんなに早く魔女様になられるとは思っていなかった。貴女を誘拐した女とマイネンとは誘拐目的が食い違っていました」


「私を誘拐して、人質にして他国に逃げるつもりだったのでしょう?」


「ええ、女はそう思ったようですね。でも、マイネンは違った。マイネンは国を興したかった。そして王となり、貴女を王妃に、マイネンの伴侶にしたかったようですよ」


「え?嫌です」


私は思わず自分自身を抱きしめる。ぞわっときてしまった。話もした事の無いうんと年上の人と結婚なんて無しでしょ。


国王陛下は頷かれる。


「ええ、貴女を魔女の卵と知って、そして魔力が多い貴女との子が欲しかったようですな。自分の子を魔女や魔法使いにさせたかった、王宮を歩く貴女を見かけた事もあり、目を付けていたと供述したそうです」


私は気持ちを落ち着かせる為、ゆっくりとお茶を飲む。


「マイネン大臣って色々やばい人なんですね。あ、元大臣ですか。私って男運が無いんですかね?目を付けるって何?ストーカーですか?恋人通り越して、いきなり結婚・・・子供の話も出てるなんて。想像力豊かな人なの?いや、マイネン元大臣、無しですけど。私もちょっと想像してしまいました。師匠はこの事知ってるんですか?」


「やばい人ですか。ストーカー、ええ、そうでしょうな。大叔母様は取り調べの事は知りません。まあ、大叔母様ですからな、知っている可能性はありますが。取り調べは法務局、騎士団と軍団、両団合わせて行っています。色々貴女の事をマイネンが話したようで、マイネンへの取り調べが少々厳しい物になったようです。私は男運が無いとは思いませんがね」


「そうですか?ええ・・・子供・・・。マイネン元大臣、私より四十位年上ですよね?はあ、師匠やランさんには知られたくないですね」


陛下も頷かれた。


「その方が宜しいかと。マイネンは取り調べが全て終わるまで時間がかかるでしょう。ジェーン様、この度は申し訳ありませんでした」


陛下はゆっくりと頭を下げた。


「分かりました。この話はこれで終わりで良いですか?早く忘れます」


私、変な男しか寄り付かないとか無いわよね・・・。陛下は頭を上げられ、頷かれた。


「魔女のお披露目の説明は受けましたか?」


「はい、大体は。私が今日知りたいのはお披露目の意味と、魔女と魔法使いと国についてです。先程の話と被りますかね?お披露目は私達お互いを守る為ですね?契約はあるのですか?」


陛下はティーカップを置き、頷かれた。


「大叔母様からは何も?」


「師匠はああ言う人ですから。色々言い忘れてる事が多いですよ。おかげでちょっとピンチになって髪の色も変わりましたし。魔女の昔の話は、私の契約者から教えて貰いました。お披露目は国内、他国への牽制、皆の力のバランスを取る為ですね?国、王室と魔女達、お互いを守る為ですか?」


陛下は頷かれる。


「魔女様と魔法使い様、国のバランスはジェーン様が思っている事で合っています。大きな力は抑止力になる。しかし、それは火球を抱える事と同じです。国によって細かい決まりは違います。我が国の魔女様や魔法使い様に関しては大叔母様が決められました。たった一つ、「自由」です。我が国に我らと魔女様達の契約等はありません。聖典と法典に魔女様と魔法使い様は自由の者と書かれています。これは魔法紙で書かれており、教会の司祭以上の者、王族の者は洗礼を受ける際に二つの本に手を添えます。手を添えた者は破る事はありません。契約と言って良いかは分かりませんが、魔女様達と国を繋ぐ物はそれです。魔女様達が何かをする事はありませんよ。今回、新たに聖典と法典に一文を付け足そうと思っています。大叔母様は我らと魔女様達を繋ぐ橋になってくれているのですよ」


「付け足す一文をお聞きしても宜しいですか?」



陛下はゆっくり頷かれ口を開かれた。


「何人も、魔女、魔法使いを争いに行かせる事を禁じる」


「分かりました。それに付け足して下さい、但し、魔女、魔法使いが望む場合はこの限りではない」


陛下はゆっくりと私を見る。


「陛下、私達の契約はないのですよね?お披露目の目的は主に魔女や魔法使いを守る為ですね?私は師匠に全てを背負わせたくない。私は師匠を守りたい。勿論私は戦争に好んで行きません。命は大事ですからね。私は薬屋ですし。ただ、魔女や魔法使いは自由なのでしょう?」


「はい」


「お披露目には他国の方も来られるのであれば、猶の事。その発表はお披露目で?それに、争いは何も他国との戦争だけを指しませんよ。必要があれば私は戦う。誰が(・・)相手でも」


国王陛下はゆっくりと目を瞑り、頷かれた。


「私と司教が二つの本に手を置きます。発表と同時に効力が出ます。本に手を置いた者は何人も破る事は出来ません。今後は大臣の任命式の時にも手を置くようにさせますよ。司教も賛成されています。今後、マイネンの様な者が現れないとは限りませんからな」


私はお茶を一口飲む。


「では、祝福は派手に行きましょう。魔女に手を出したらどうなるか。魔女は争いも、平和も好きに参加しますよ。誰にも縛られません。師匠も縛られなくて良いんです」


「私は大叔母様には甘えてばかりで。少しでも恩返しがしたいと思っています。大叔母様を安心させて好きにして欲しい。今後、国や教会が魔女様に手を出す事がないとはっきりさせたかったのですよ」


「陛下の気持ちは分かりますが、難しいでしょう?それに我が国がそう言えるのは大魔女の師匠がいるからでは?私は師匠の心配を減らしたい。他国でも魔女や魔法使いの人数は減っているんですよね?」


陛下はお茶を飲み、頷かれた。


「ええ、減っています。近隣のお披露目に招かれたのは二十年前が最後です。我が国では十五年ぶりです。その時は魔物湧きもあり、魔法使い様のご希望で規模を縮小したお披露目となりました。我が国は大魔女様がいる。この一点で他国からも重きを置かれています。最近は近隣諸国も落ち着いて、何処も穏やかですが。私の代でしっかり国を固め直します」


「分かりました。私は向けられた杖に容赦しません。誰にでも。陛下はその上でこの一文を付け足すのですね?師匠と、他の魔法使い様にもその一文の了承を取って下さい。皆が良いなら私も良いです」


「貴女の望むままに。大叔母様には、それで亡ぶ国なら亡べと言われましたからな。そうはならない様にしっかり頑張りますよ。本来の姿に国を戻すだけですな。それに、この一文は国を守る事にもなると私は思います。魔女様、魔法使い様に手を出す愚か者を防げますからな。ジェーン様には迷惑ばかり掛けます。何かお披露目で希望等はありませんか?お披露目に呼びたい者等は?ご両親を呼ばれても宜しいですが。ラン嬢は来られないのでしょう?」


「迷惑ではないですよ。必要な事はしなければ。両親は田舎からお祝いをしてくれるそうです。守り石を付いた物を両親には贈るので大丈夫ですよ。ランさんは、遠慮しとくー、と言われました。親族ではないでのですが三名、お披露目に呼びたい人がいます」


「ええ、どうぞ」


「では、薬師長と、薬受付事務局から一名と門番から一名をお願いします。いつも迷惑を掛けていますので。お披露目に必要なドレス等は王宮で立て替えて頂けます?正装費用は、名無しの薬局のロゼッタ・ジェーンで請求書回して下さい。また何かあれば宜しくお願いします。やばいストーカー伴侶の件は師匠とランさんには内緒にして下さい」


国王陛下は頷かれた。


「ええ。分かりました。薬師長と、薬受付事務から一名、門番より一名ですな。事務と門番は誰でも良いのですかな?伝えておきます」


「ええ。受付と、門番で参加される方の希望をお聞きになって下さい。私の財布事情で三名がギリギリかと」


「ジェーン様。国から魔女様の祝い金が出ますよ。振り込んでおきます。ジェーン様、これからも宜しくお願いします」


「遠慮なく頂きます。陛下、程々にお願いします。私はのんびり薬作ってお菓子食べていたいですから。では」


私は話が終わると席を立ち、騎士に案内をして貰って王宮入口に戻った。そこで騎士と別れ、門番さんに挨拶をすると、トコトコハウスと、アパートによって帰る事をランさんに伝える為魔蝶を飛ばした。


今日の話を考えながら乗合馬車に乗り、再びキラキラした子供達の目線を受けながら、早く転移魔法を覚えようと思った。









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― 新着の感想 ―
[一言] 連日更新お疲れ様です。 えぇ・・・(((^^;) 40も年下の、ほぼ孫みたいな年の差の女性を王妃にしての国獲りって、発想がヤバいですなw 発想というより妄想・・・?σ( ̄∇ ̄;) いずれに…
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