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マークさんとデート 1

私はいつもの魔女のローブにいつものブローチを着け、髪の毛だけメイドさんに綺麗に結って貰った。リボンを編み込んで、ランさんに貰った髪留めを着ける。


中々良いと思う。


ジロウ隊長からは「くれぐれも、くれぐれも、お気を付けください。あー、急いで帰って来るんで。魔蝶のコイン、持ってるんでいつでも飛ばして下さい。何かあったらどんどん使い魔使ってやっつけて下さい。アル殿、フォル殿、ウェル殿、とにかく宜しくお願いします」と使い魔に頭を下げ、頭を掻かれながら出かけられた。


ジロウ隊長の保護者感がすごい。


三匹は任せろ!と頼もしくジロウ隊長に応えていた。そこまで心配されなくても大丈夫よ。私だって魔法は使えるし。警護の方もいるしね。臭いスプレーも持っているし、相手が師匠なら厳しいけど、いきなり魔法使われない限りは逃げれると思うのよ。


そもそもデートじゃないかもしれないし。


皆張り切ってくれてるけど、これでデートじゃなかったら勘違い女って称号が増えてしまう。コロン領まで来て新しい二つ名はいらない。


私が寝た後も、夜はランさんから魔蝶がバンバン届いた。もう、眠い目をこすってランさんに魔蝶を飛ばした。



「ランさん、あんまり魔蝶使うともったいないですよ。お金の無駄です」と送るとぴたりとやんだ。



今日、お出かけから帰ったらランさんに魔蝶を飛ばそう。きっと、今頃モダモダしてるだろうけど、ちょっと落ち着いて欲しい。


私も昨日の夜は少しドキドキしたけど、今は落ち着いた。よく考えたら、デートと言っても街歩き。アランさん達のパーティでマークさんは一番真面目な感じだし、学園の時に仲の良い薬師科の男の子と薬局なんかを回った事がある。あんな感じよね。


その事を思い出し、なんだ、そうか、私にもちゃんと経験があるじゃないか、と安心した。ダレンとデートはした事があったが、お互い学生だったしカフェとか公園をうろうろしたりするだけだった。卒業してからは忙しくて殆ど会わないままで、ああなってしまったが。


今回、仮にデートだったとしても、マークさんはジロウ隊長の前で私を誘ったから真面目なデートなはず。ジロウ隊長も変なデートではないだろうって言っていた。


変なデートが気になるけど、結局ジロウ隊長は教えてくれなかった。あれから自分で考え、きっと如何わしい事だと結論付けた。


うさ耳お姉さんのお店に行くような事だと思う。それだったら、変なデートだ。


マークさんからうさ耳のお店に誘われたらどうしたらいいんだろう?ワイン一杯飲んで帰るのが正解なのかな。ジュースはあるのかな?そもそもどんなお店なのかな。丁寧に断る?マークさんに魔法をいきなりぶつけていいの?


うさ耳のお店の事は王都に帰ったらポッポ屋のお姉さんに聞いてみよう。


変なデートの事は、モラクスさんか師匠に聞いてみよう。皆、経験があるかもしれない。


報告、連絡、相談は大事よねー、と三匹と話し、デート(仮)の準備を終えると、ジロウ隊長おすすめの隊員、愛妻家のリーさんに挨拶をした。



「今日は街に出かけます。宜しくお願いします。もう少ししたらマークさんが来られると思います」



私がそう言うと、礼をされた。



「お任せ下さい。デートとお聞きしましたが、嫁入り前のジェーン様に問題が無いようにお守りします。お三方、宜しくお願いします」



リーさんは三匹にも礼をし、三匹も頷いた。戦いに挑むような意気込みだ。そうだ、娘さんを溺愛していると言っていた。なんだか心配になって来た。


「リーさん、今日は街歩きですよ。程々でお願いします。きっとただの街歩きですよ。変なデートではないってジロウ隊長も言ってました」


私がリーさんに言うとリーさんはピクリと眉毛を動かした。


「ジェーン様を変な場所等に近づけさせません。ご安心下さい」


おお、三匹も力がみなぎっている。変な場所って何処だろう。


これで薬局屋巡りで帰ってきたら勘違い女、もしくは痛い女ってならないかな。もう、皆、勘弁して欲しい。


フォルちゃんの耳が動いて私を見た。



「マークさん、来たのね」



私がドアの方へ歩いて行くと、アルちゃんが肩に、フォルちゃんは私の前を歩き、リーさんの頭にウェルちゃんが乗った。


すみませんと私が謝ると、光栄です。と言われた。


私が広間に行くとマークさんが来られていて、メイドさんと話している所だった。アランさん達はいなく、マークさんだけだった。服装もいつもよりちょっとお洒落な感じだ。やっぱり今日はデートなのね。二人きりじゃないけれど。ジロウ隊長の言う通りね。


勘違い女は回避された。



「こんにちはマークさん。お洒落なジャケットですね。今日は宜しくお願いします」



私が挨拶するとマークさんも挨拶を返してくれた。



「ジェーン様、こんにちは。素敵な髪形ですね。よくお似合いです。本日は宜しくお願いします。街の方へ行きましょう」



マークさんはリーさんとアルちゃん達にも挨拶をされて私達は出発をした。馬に乗せて貰い、私達は街へむかう。私達の前をフォルが走り、後ろをリーさんの馬が走る。ウェルちゃんは空を飛んで上から見張っている。



「今日は、何処へ行かれるのですか?」



私が聞くとマークさんはニコリと笑った。



「街で食事をした後、薬剤を置いてある店に行きましょう。店主が新しい物が入ると言っていました。その後は街の外れの高台からの景色が綺麗なんです。疲れてないなら、そこへ行きましょう。風魔法も試せますよ」


「楽しみです。この間一度伺ったお店ですか?何が新しく入ってるんでしょうね。ランさんからも、珍しい物は色々買って良いと言われているので、沢山買おうかな」


「店主も喜びますよ。まずは食事をしましょう。デザートが美味しいと評判ですよ。パンデが教えてくれました」



私達は話しながら街に入り、パンデさんおすすめのレストランに入った。


こじんまりした可愛いお店で二階に上がると大きな窓がある素敵な部屋に通された。



「素敵なお店ですね。パンデさんはお洒落なお店をご存じなのですね。大通りも、ギルドも見えます。コロンの街は良い街ですね」


「パンデは物知りですよ。お洒落な雑貨屋等も知ってるので、今度聞いてみてはいかがでしょう。今のコロンの街があるのは、大魔女様や、軍団の方、ジェーン様やラン様のおかげですよ。ああ、勿論使い魔殿も。本当に、魔物湧きの時は皆、街を捨てるか、街と共に死ぬかを考えていました。ジェーン様は昔、魔物湧きが辺境であった事はご存じですか?あの時は私はまだ子供でしたが、辺境からコロン迄着の身着のまま流れて来た人がいましたよ。あの人達の姿を今回思い出しました。ジェーン様、改めてこの度は有難うございました」



私はゆっくり首を横に振る。



「師匠達や軍団の人の頑張りです。勿論マークさん達も。私の薬が役に立ったみたいですけど。臭い薬、ご存じでしょう?あれ、作ったの私ですよ。ふふ、ちゃんと消臭剤も今は作ってますよ。コロンの街臭かったですか?でも、きっと皆頑張ったんですね。ダンツ男爵がきっと今も頑張ってくれてますよ。コロン領はきっとよくなります。東の森も元に戻ると良いですね」



臭いスプレーはコロン領では有名らしく、私が作ったと聞いたら笑っていた。私達が話をしていると料理が運ばれ美味しく食べた。














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