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年頃のお嬢さんとリボン 

子供達の親がぞろぞろと迎えに来て、ギルド長が慌てて子供達の親に私を説明していた。親達は私に挨拶をしてから子供の側に行った。


中には勇者の礼をする人もいて、私は黙って頷いた。


それからは冒険者ギルドの中はお祭りの様になった。



「冒険者ギルドの課外学習の後はいつもこんな感じですよ。親達も一緒に来て飲みだすのが恒例行事ですね。ああ、ジーナや小さな子がいる家は早めに帰りますがね。ギルドがお土産を渡すんですよ。あ、ロンが自分の分のお土産をジーナに渡してますね。素直にしてれば可愛い奴なんですよ」



ジャックさんがお酒を飲みながら子供達を見つめてる。皆の顔色も戻っているが、フォルちゃんやアルちゃんにちょっとビビッている。多分私にも少し。


ジロウ隊長が迎えに来られ、私がそろそろ帰ります、と言うと、皆が挨拶をしてくれた。


ウェルちゃんがピピっと鳴き、ギルドの中に風を起こし水を綺麗に降らすと子供達がキャッキャと喜んだ。



「皆さんとの出会いに感謝を。またお会いできますように」



私が杖を振り魔力をキラキラと飛ばすと、皆も礼をしてくれた。子供達がまたねーと言って手を振ってくれ、私が頷くと、ロンが大きな声で、「魔女様、またな!」と言った。


私がニコリと微笑み、「いつでも瘤を作ってあげるわよ?」と杖を出し言うと、ロンは「いらねーよ!」と言ってクシャっと笑った。


私とジロウ隊長がギルドを出ると、マークさんが出てこられた。



「ジェーン様、明日は森の方には行かれないと言われてましたが、何かご用事ですか?」



私は首を振り答えた。



「いいえ、ジロウ隊長達がメリアの国境の方まで見回りに行かれるので、私はお留守番ですよ」


「あの、用事がないなら、明日、一緒に街を周りませんか。あの、宜しければなんですが」



私がジロウ隊長の方を見ると苦笑いしていた。



「良いですよ。お薬も明日は作りませんし」


「そうですか!では、昼前に館に伺います。では、また明日!」



私が頷くとマークさんは礼をされギルドの中に入って行った。ジロウ隊長は、参ったな。と頭を掻いていた。



「最近は街を案内される事も多いんですけど、駄目でしたか?帰りは何時までに帰ればいいですか?」



私が歩きながらジロウ隊長に聞くと、ジロウ隊長は、うーんと唸られた。



「いやあ、明日はホーソンもいないんですよ。飛竜で上空からの見回りをして貰うので。ジェーン嬢は館にいると思っていましたからリーのみの警護予定なんですよ。街歩きはジェーン嬢のお好きにされていいんですが。明日はマークさんとお二人で出かけるのであれば、なるべく大通りを中心に歩かれて下さい。まあ、使い魔が三匹もいらっしゃるし、リーを付けるので、日が出ている間は大丈夫とは思いますが。ラン嬢にも魔鳩飛ばさなきゃかなあ・・・」



そう言いながらジロウ隊長は私に手を差し出され、私は手を借り馬に乗った。



「え、明日はマークさんと二人なんですか?」


「え、ジェーン嬢、今のはデートのお誘いでしょう?」


「え、デートに明日私行くんですか?デートに行きましょうって言われてないですよ?」


「え、デートに行きましょうとか、普通誘いませんよ。せいぜい、一緒に出掛けよう、くらいですよ」


「え、じゃあ、お付き合いしましょうとか言われなくても付き合ってる事あるんですか?」


「いや、それはないかと。あー、うん、参ったなあ」



ジロウ隊長と私はえ、え、え、と言いながら馬でパカパカと街を進む。



「いつも、アランさん達や、薬師協会の人と一緒だったので明日もそういう感じかと思ってました。私、デートに来ていく服なんてないですよ。困ったな。あれ?ジロウ隊長、私のデートはランさんに報告するんですか?」



ジロウ隊長は苦笑いしながら頷く。



「ロゼッタにー、誰かがデートを誘ったらしっかり報告して下さいねー。と言われてます。他にも色々言われてますが。明日は街歩きデートじゃないですか?まあ、護衛もいるから、変なデートではないと思いますが」



すみません、と笑われながら言われた。ジロウ隊長、中々ランさんの真似が上手い。



「私、さっきギルドで使い魔達と一緒に大人も子供もボコボコにしたんですけど、デートに誘いたくなりますかね?ジロウ隊長の気のせいじゃないですか?変なデートと変じゃないデートがあるんですか?ジロウ隊長、変なデートって何ですか?」


「いや、今のはデートのお誘いですね、変なデートの件は忘れて下さい。ギルドで何かあったんですか?」


「えっと、売られた喧嘩を買いまして、必要以上に皆を煽りました。そして掛かって来た子供達は返り討ちにしました。皆、瘤作って喜んでましたよ。大人はお尻をアルちゃんが鞭で叩きました。変なデート気になります」


「・・・」


「デートと思って違ったら恥ずかしいですよ?勘違い女になりません?あ、怪我は瘤と、お尻が赤くなってるだけと思います。ちゃんと問題がないようににウェルちゃんに帰る時に回復の水も撒いて貰ったので、明日には赤みも引いて瘤は無くなります。ジロウ隊長も鞭見ます?」


「・・・。見せて貰った方が良いのですかね?まあ、無事なら宜しいかと。うーん。あー、ジェーン嬢、魔法陣で魔法使われました?」



私は前を向いたまま頷く。



「ええ、大人をお仕置きしようとした時に。子供にはしてませんよ。まあ、皆見てましたが」



ジロウ隊長が頭を掻かれたのが分かった。



「あー、うん。ジェーン嬢、ラン嬢も言っていましたが、貴女が魔法陣使って魔法使う時、綺麗なんですよ。御自覚なさって下さい。まあ、使ってなくても容姿も可愛いので、変な輩が寄ってきますよ。使い魔が三匹もいて、魔女様だから心配はないんですがね。でも、やはり年頃のお嬢さんですからね。ラン嬢も心配されますよ」


「え、魔力粒子の事じゃなくてですか?髪が綺麗は言われましたけど?ランさんが言ってるのは星とか火花が綺麗みたいな物かと思ってました」



私はぼっと顔が赤くなる。



「あー。ジェーン嬢は魔女様ですし、ホグマイヤー様のお弟子様で、直接言う奴は中々いないと思いますよ。ジェーン嬢は普通に可愛いですよ。王都でも評判でしたよ。まあ、魔法陣の時は特別ですね。あれは綺麗です。うちの隊員も見惚れてる奴いるんで、そいつらはジェーン嬢の警護から外してます。リーは奥さんにベタ惚れだし、娘さんを溺愛してるので問題無いです。ご自身の容姿、自覚してちょっと気をつけた方がいいですよ。年頃なんですから。まあ、いい歳のおっさんの忠告ですね」



私はドキドキと胸が鳴る。可愛い?年頃?私が?ちょっと恥ずかしい。



「え、私、可愛いの?王都の評判って変な二つ名じゃなくて?あれ?ジロウ隊長、おっさんなんですか?」


「あー、二つ名の予想は付きますけど。まあ、それ関係なく可愛いですよ。自分はジェーン嬢からしたら歳は十は上ですよ。ジェーン嬢は学園卒業したばかり位でしょう?自分、今年三十になります、おっさんの仲間入りですかね。自分の隊長就任も急だったんで、隊長としては若いですが、ハワード隊長の方が若いですし。やっぱりジェーン嬢達見てたら年を感じますね。ははは」


「えっと。ジロウ隊長はおっさんじゃないと思いますよ・・・」



「うん?まあ、明日は楽しんで来て下さい。マークさんもしっかりした冒険者なんで、変な事はしないと思いますが、自衛は大事ですよ。女の子なんですから、悪い男に気をつけて下さい。何かあればすぐ駆け付けれればいいんですけどね。ジェーン嬢が魔女様で強いのは分かってるんですが、隙は見せたら駄目ですよ。側にいる時は自分が虫は払いますがね、使い魔の皆さん頼みます」



アルちゃんは相変わらずジロウ隊長の頭の上だ。


皆はジロウ隊長の言葉に頷く。


私はドキドキしながら、その後もジロウ隊長の明日の出発時間や帰りの時間を聞いたり、私への注意事項を聞いたりしていると館についた。私とジロウ隊長が明日のデートの話をしていると、メイド長さんがやってこられた。



「魔女様、差し出がましいですが、明日はリボンをお使いになりませんか?私共からのプレゼントです」


紺色に金の刺繍がされた綺麗なリボンを差し出された。


「宜しいのですか?」と言うと、「はい、魔女様はローブがとても素敵です、明日は髪の毛にリボンを着けられるのが宜しいかと。我々メイドにも沢山の石鹸や薬を頂きましたし、お礼をさせて下さい」と言われた。


早速メイドさんが綺麗に髪を結ってくれて試しにリボンを着けて貰うと、とても綺麗だった。


アルちゃんもフォルちゃんも褒めてくれて、ジロウ隊長も、「可愛いですよ。大変似合ってます」と言ってくれた。


私は赤くなった顔で、メイドさん達に有難うとお礼を言うと、皆も頷き、にっこり微笑んでくれた。私が髪を見ているとジロウ隊長は頭を掻きながら手紙を書いていた。


魔鳩を二羽飛ばし、参ったなあと言っていた。私のデートってそんなに困らせちゃうのかな。デートって決まってないのに。なんだかランさんに私からも報告してないと、あとから怒られそうだ。


私は魔蝶でランさんに「明日マークさんとデートかもしれません。でも、第四の方の護衛も付くし、三匹も一緒なので心配しないで下さいね」と送った。


メイドさん達に明日また髪を結って貰うお願いをして部屋に入った。



「明日は、マークさんとデートなのかな。いつもの街歩きと何が違うのかな。皆、明日は宜しくね。悪い人がいたらやっつけましょう。あと、私は可愛いですって。ふふふ。ジロウ隊長、おっさんじゃないわよね。あー、なんか恥ずかしい」



私は三匹に杖を向け魔力を流した。ちょっと恥ずかしさで魔力が乱れたがしょうがないと思う。そのあとモラクスさんにも魔力を流し、心の中で、早く本を開いてモラクスさんに色々聞きたいです、と伝えた。


私は魔蝶を聞いてびっくりしたランさんからの返信魔蝶に困るんだけど、眠くなったので、寝ますと言って寝た。



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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 いやいやロゼッタちゃん、言い方~(((^^;) なんというか、あの場にいた人全員ヤバい人になりますよぉ・・・ 貴女も含めてww。。(〃_ _)σ∥
[一言] いつも更新ありがとうございます。 前回感想への返信も色々とご配慮いただきありがとうございました。 使い魔でバッチリ通じてます。現在の自分を省みたところ、小説世界観考察勢&ロゼッタ後方彼氏面…
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