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東の森の調査と魔方陣 

もう少し不定期投稿になります。

東の森に入ると匂いが変わった。


草木の匂いが一気に濃くなり、日差しが遮られ汗ばんでた肌には気持ち良く感じた。


森は魔物討伐の名残がいくらか残っていて、戦いで踏み潰された草、なぎ倒された樹木があった。



リーダーのアランさんが森を見回す。



「魔物湧きの後に入ったのは初めてですが、こんなに静かな森は初めてです。普段は魔物の声が聞こえたり、生き物の気配で溢れているんですよ。この森は強い魔物も少なく、初心者や中級冒険者に人気の森でした。街からも近く素材も色々取れます。薬草も採れるので初心者冒険者の最初のクエストでもありますね。薬草はいつでもギルドが買い取りしてくれますから」



私達は森を進むが魔物が見当たらない。



「皆さん、ちょっと待って貰っても良いですか?」



皆が足を止め私の方を見る。



「ジロウ隊長、魔法で森を調べてみても良いですか?」



「ジェーン嬢のお好きに。私達はこのままで宜しいですか?」



私は頷きアルちゃんを見る。



「アルちゃん、闇魔法で探知をやってみましょう。霧、出来るわね?それを森全体にするわよ。探知は熱だけを調べれば難しくないと思うの。一緒にやりましょう。フォルちゃんはその間、私達に防御膜、張れる?皆を包むようにお願い。私とアルちゃんの魔力は通してね」



コクンと二匹が頷き、アルちゃんがジロウ隊長の頭の上にぴょんと飛び乗った。フォルちゃんは私の横に立ちワオンっと吠えた。空気が一瞬ピリっと動くと私を中心に防御の膜が皆を包んでいった。



私は頷き、集中する。


私は杖を頭の上で振り魔力を貯める。私の周りを魔力がキラキラと溢れ光り出した。


モラクスさんが言った。精神を鍛えろと。魔女の言葉には力がある。


モラクスさんの世界を見て感じた。


きっと、魔女の強さは限りがない。


大丈夫、私は出来る。


皆が私の方を見ている。ジロウ隊長もアルちゃんを頭に乗せたまま、動かず私を見ている。



「ジロウ隊長すみません、そのままで。皆さんじっとして下さいね。アルちゃん、いい?熱を調べるわよ。水の波紋と蜘蛛の巣のイメージよ。行くわよ、貴方は出来る」



私が杖を振り魔力を一気に周囲に溢れさせ、片方の足のつま先でトンと地面を鳴らすと私の真下に魔法陣が浮かんだ。


師匠の魔法陣とは違う。


私の魔法陣。


魔力で風が湧き、ローブがはためき、私を中心に魔力の粒子が光り溢れる。コントロールが難しいわね。


アルちゃんに杖を向け魔法陣の魔力を一気に流した。蜂蜜色の光が勢いよくアルちゃんに流れ込み、アルちゃんが闇魔法で出した霧は凄い勢いで森に広がっていった。探知の為、霧の中に魔力を散らしているのが分かる。


驚いた顔のジロウ隊長と目が合い私がふっと笑うと、ジロウ隊長は、はっと瞬きをし口元をぎゅっと絞められた。一分程でアルちゃんが私にウインクをし、霧は消えた。大体の数をイメージで送ってくれた所で魔力を止めた。


杖を振ると魔法陣も消え、風も収まり、皆が息を吐き出したのが分かった。


森の中に生き物はパラパラと散らばっているのね。


アルちゃんはジロウ隊長の頭から私の肩に移って、褒めて欲しいのか頭をすり寄せてくる。



「アルちゃん、フォルちゃん有難う。貴方も防御を解いて良いわよ。皆さん動かれて良いですよ。生き物は森の中に散らばっています。魔物でしょうね。森の大きさを考えると少ないですね。中型が五十程度でしょうか。大型はいませんね。小型はまだ多くいそうですよ。ランさん、魔物を狩るのは一体か、二体が良いかもしれません」


「了解ー。出来れば小さな魔物と中型の魔物、一体ずつがいいかな。魔法驚いたけど、ロゼッタすごく綺麗だったよー」



ホーソンさん、アランさん達も頷く。



「上手くいって良かったです。ジロウ隊長、魔物は北の方に多いようですね。北の方に進みましょうか」



私が言うと、皆が頷き進路を北にした。



斥候のジャックさんが、先に進んで戻り先に進むを繰り返すが、本当に静かだ。


その間も、ランさんがアランさん達に指示を出し、メモを取りながら薬草やミント、木の実や木の皮などをせっせと採取していた。ジロウ隊長とホーソンさんはランさんと話しながら、討伐した時との違いや討伐の様子等を話していく。


師匠のスプレーまき散らし武勇伝や、水魔法魔術士洗い流し事件を聞かされながら私達は森を進む。



「ちゃんと後で買い取りしますからねー。皆さん綺麗に取れた物はその分、色付けますよー。雑に三本取るよりも、綺麗に一本取った方が買い取りは高いですよー。頑張って下さいねー」



アランさん達も頷きながらせっせと採取していく。



「薬草などは、最近森に入る者が少なかったからか、多いですね。普段はこの辺迄無い物もあります」



ジャックさんが辺りを見ながらランさんに薬草の量の違い等を話している。ランさんはジャックさんの話をふむふむと聞きながら、採取した薬草や、木の実も鑑定をしていく。



「ジロウ隊長ー。草木の影響はない様ですよー。川も近いならそっちも周りたいですねー。せっかくだから水も確認してみたいですー。出来る事はやっておきましょー。魔物のフンを見つけたら教えて下さいねー」



ジロウ隊長は頷き、地図をランさんに見せた。



「北にこのまま進み西に少しずれると川があります、その川を越えると森を抜けます。森沿いに南に進むとファン草の栽培場所に行きますので、そのルートで行きましょう」



「了解ですー。では、皆さん、サクサク進んで、帰りに沢山採取しましょうか。その方が荷物も少ないですしねー。川の砂と石も採取しますよー」



私達はそのまま北に進み小さな魔物を一体討ち、ランさんが鑑定後、私のマジックバッグに収納した。私がそのまま魔物をマジックバッグに入れようとしたらフォルちゃんが魔物を薄い膜で包んでくれた。


これならバッグが汚れない。


私はフォルちゃんを撫でて、私に似て賢い子、ふははは、と思っているとジルちゃんのしっぽがピシっと私の足を叩いた。


痛い。


やっぱり使い魔は主人に似るのよ。


私がフォルちゃんとアルちゃんと会話をしていると、中型の鹿の魔物が出てきて、ジロウ隊長とアランさん達であっと言う間に討ち取った。ホーソンさんはランさんの前に出てランさんを守っていた。魔物が出て来た時は、フォルちゃんは私にバリアを掛け、アルちゃんはあくびをしていて、我関せずだった。


ジロウ隊長って強いのね、と思ったが、隊長だもの当たり前ね。今迄、謝罪注文しか知らないし、師匠に怒られている場面しか見た事がなかった。


ランさんが死んだ魔物をじっと見て、「問題はないようですねー」と言った。


同じように私のマジックバッグに魔物を収納し、川を目指し、水の確認、石や砂を採取してファン草の栽培場所に着いた。栽培場所に近づくとマスクをした第四の隊員達がいた。



「ファン草の周辺は交代で見回りをしています」



ジロウ隊長が手を挙げると隊員の人達は私達に礼をした。


ランさんはサードタイプマスクを着け、他の人は第四の薬師さんが配ったマスクを着用し、栽培場所に近づいた。


フォルちゃんが私とアルちゃんには防御を張ってくれたので私はマスクをしなかった。私も自分で出来るようにならないとね。


風魔法の練習頑張らないと。私がフォルちゃんを見るとフォルちゃんは頑張れよ、と言う顔で頷いた。



「結構広いですね」



ファン草の畑は名無しの薬屋がすっぽり四軒は入るスペースで栽培されていた。



「畑としては狭いと思います。あまり場所を広げると見つかる恐れがありますからこの広さになったのでしょう。タウンゼンド宰相からファン草の刈り取り許可は出ています。早速刈り取りますか?」



第四の隊員の方が十人程私達の前に並んだ。



「そうですね、今、刈り取っても問題ないですね。刈り取る方が早くていいですけど、今後の土地の事を考えると引っこ抜く方がいいですねー。人数いるんで、引っこ抜きます?土地を浄化するにしても焼くにしてもその方が後が楽ですよー」



ジロウ隊長は苦笑いされ、「そう言われては、抜くしかありません。皆分かったな。出来るだけ綺麗に抜くように」と指示を出された。


「ではみなさん、やりましょー!!私が買い取りますよ!おー-!!」と、ランさんが言うと、アランさん達は目を輝かせ、おお!!と言った。


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