コロン領の冒険者達
しばらく不定期更新となります(o*。_。)o
一夜明け、私の体調はすっかり元に戻った。
魔力の流れも問題ないようで試しに杖を振り、魔力を少しフォルちゃんとアルちゃんに流すと喜んだ。
二匹に浸み込むように魔力が流れた。
成程。
モラクスさんにも話を沢山聞きたいけど、師匠は本を工房から出したくないと手紙に書いていた。名無しの薬局以外でモラクスさんを呼ぶのは極力止めた方がきっといいわね。
時間が経っても髪の色は変化したままで、むしろしっかりとなじんだようだった。暗い紺色の髪に蜂蜜色が混じったが、毛先の方は蜂蜜色が多くなった。毛先から魔力が溢れ出たせいかもしれない。
何はともあれ、私の魔力は落ち着いた。
身支度を終え食堂に行くと、ジロウ隊長とダンツ男爵、ランさんがお茶を飲んでいた。ホーソンさんは飛竜の所にいるらしい。
「おはようございます、皆さん。寝すぎましたかね?」
私が挨拶をして席に座ると、メイドさんがお水を持って来てくれ、すぐにお料理もお持ちします、と言われた。ジロウ隊長も私の髪を見て驚いたが、皆と同じ説明をすると納得された。あまりにすんなり納得されたので、ジロウ隊長にすんなり納得できる物なのか聞いたら、魔女だから、なんでもありなのかと。と、返された。
「ジェーン嬢が体調を崩されたと聞いてましたが、元気になられたのならば良かったです。もうすぐ冒険者達がやってきます。ギルド長から紹介された者が四人程ですね。その冒険者達と東の森の魔物の確認をしましょう。東の森まではスレイプで行けばすぐです。東の森の手前でスレイプは降りなければいけませんが、隊員の者が途中まで迎えに来ますし、魔物の心配も少ないでしょう。ジェーン嬢の体調は本当に大丈夫ですか?」
私はパンを食べながら頷いた。
「はい、大丈夫ですよ。スレイプは見た事がないのですが六本脚の馬ですよね?ただ、馬に乗った事が無いのです」
「では私が一緒に乗りましょう、スレイプは二人で乗っても問題ありませんよ。ラン嬢は乗れますか?馬もいますが」
ランさんはダンツ男爵と話をしながらお茶を飲んでいる。
「はい、乗れますよー。久しぶりですが、飛竜ちゃんも乗れましたし。駆足までなら問題ないですよー。あまり早いのは不安ですが、スレイプちゃんでも大丈夫と思いますよー。せっかくだし、スレイプちゃんに乗ってみたいですねー」
ランさんなんでも出来るな。ランさんが苦手なのは味付けだけだな。香り付けは臭い練薬か石鹸の香り、振り幅が激しすぎる。
コロン領内でファン草患者の話がされたが、気になる症状の患者はいないと言う事だった。マイネン大臣がどこでファン草を売りさばいているか判れば良いのだが・・、とダンツ男爵とジロウ隊長が眉を顰められた。
ホーソンさんが戻って来た所で私が朝食を食べ終わり、メイドさんから冒険者達が到着しましたと言われた。
「早かったですね。これなら少々ゆっくりスレイプを走らせても問題ないでしょう。スレイプは隊が準備しています。では、顔合わせといきますか」
私達が、冒険者達の待っている部屋に移動し、ダンツ男爵から部屋に入ると冒険者達が立ち上がった。
ダンツ男爵が挨拶をして冒険者のリーダーの方が皆に礼をした。
「コロン領で冒険者をしているアランです。黒い角というパーティのリーダーをしています。こちらは、マーク、ジャック、パンデです。このメンバーで七年目です。コロン領では中堅所です。本日より東の森の観察補助の依頼を受けました。宜しくお願います」
冒険者の方がそれぞれ礼をされる。冒険者の人達ってもっと怖い人かと思ったけど、礼儀正しいのね。
剣を持ってるアランさんとパンデさんはがっしりだけど、マークさんは魔術士ね、髪が長いし杖を持っている。ジャックさんが背負ってるのは弓かな。
ジロウ隊長から目で合図され、私も礼をして挨拶をする。
「名無しの薬局、魔女のロゼッタ・ジェーンです、皆様宜しくお願いします」
私がそう言うと、魔女様だと言う声が聞こえた。ジロウ隊長がジロリと見ると静かになった。
「どうもーランです。ロゼッタの姉弟子です。魔女ではないですが、ロゼッタに何かしたら私がやっつけますよー」
ランさんがにっこり笑う。魔女より強いって宣言する姉弟子は間違いなく強い。
アルちゃんも私の肩からぴょんと下り、四人の前に立った。フォルちゃんもアルちゃんの隣に立つ。ジルちゃんとバルちゃんも、やれやれと言う感じで二匹の隣にゆっくりと立った。
「紹介しますね。私の使い魔がトカゲのアル、犬のフォル、師匠の使い魔の猫のジル、蛇のバルです。宜しくお願いします」
私が使い魔を紹介すると、ジロウ隊長が咳払いをした。
「紹介の通りだ、皆も知っての通り大魔女様が先の東の森の魔物湧きに出られた。その際にファン草を見つけて下さったのだ。こちらのお二人は大魔女様の御弟子様だ。そしてラン嬢は魔女ではないが大魔女様の使い魔殿が付いている。皆宜しく頼む」
なんだか紹介の仕方が宜しくって感じよりも釘刺しね。私達はお互いの挨拶をかわした。四人の冒険者は剣士二人、斥候一人、魔術士一人のメンバーで、全員男性だ。
年齢は二十代から三十代位だろう。アランさんの話によると、魔物湧きの前から魔物の様子はおかしく、このパーティも魔物の変化の事を冒険者ギルドに報告をしていた。
ギルドからもコロン伯爵にずいぶん前に報告を上げていたらしい。結局早めに対処していれば良かったのに、コロン伯爵が面倒で後回した結果が魔物湧き騒ぎになったようだ。
やましい事があれば人を立ち入りさせたくなかったかもしれないわね。単に面倒くさがりかもしれないけれど。
ジロウ隊長は地図を出して説明を始めた。
「ファン草の栽培場所はここです。東の森の外れですね。現在の場所がここ、街の東南です。街はここです。街からこの館は少し離れますが、東の森に行くにはこの館は場所が良いですよ。先代のコロン伯爵が領の見回りの際等にこの館を使っていたようです。ファン草の栽培場所はコロン伯爵の私有地で立ち入り禁止区域になってます。近くに丸太小屋が一軒建っているそうですが、そこで栽培の為の寝起きや、販売をしていたようですね」
私達は頷きながら話を聞く。
「今日は東の森に入り魔物の様子の観察、出来れば何体か討伐をし変化等ないか調べたいと思います。ラン嬢に鑑定をして貰ったのちに、今日の午後か、明日には一度目の薬を撒く予定です」
「ジロウ隊長、薬ですが丸薬タイプも作りました。森の様子を見てみないと分かりませんが、スプレータイプだけでは弱いと思います。葉や木に付いて魔物には影響がない可能性もありますから。直接飲ませたり噴きかけるのは難しいですから、餌に混ぜて丸薬タイプを森に撒く方が確実ですね。上空からのスプレーもした方がいいと思いますが、念の為という感じでしょう。森の大きさにもよりますし、丸薬の方が手間が少ないと思います。ファン草は刈り取り後私達が買い取っても宜しいですか?薬を作る材料になるので。栽培した土地は一度浄化しないと駄目でしょうね。早いのは燃やせば良いのですが、森に延焼の恐れがありますので、光魔法が得意な方にお願いするか、お金がかかっても良いのなら聖水を撒くかですかね」
私が話すと、ジロウ隊長とダンツ男爵は腕を組んで悩まれた。
「あの土地の量の浄化は大変ですね。まあ、まずは刈り取りですか。これ以上増やさないようにしなければ。聖水を用意するのも厳しいでしょう。光魔法で浄化が出来る者は教会の老神父一人しかいないはずです。彼一人では厳しいでしょう」
ダンツ男爵が言われた。
「タウンゼンド宰相に魔鳩を飛ばして相談しましょう。護衛はホーソンと、私でよろしいですか?」
では参りますか、と言われ私達は席を立った。




