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名無しの店のご案内 

ランさんは何事もなかったかのように開店の準備を進めていく。


使い魔も店の中を見回し、問題無し、と私を見る。


キムハン副隊長もランさんに動じていない。




「ロゼッター。ロゼッタの使い魔ちゃんの名前教えてー。皆宜しくねー。ロゼッタの姉弟子のランよー。悪い奴は一緒にやっつけましょー。皆、可愛いわねー。強そうよー。こっちは師匠の使い魔のジルちゃんとバルちゃんですよー。皆仲良くしてねー」



ランさんに三匹を紹介すると、ランさんと私の使い魔はすぐに仲良くなっていた。


ジルちゃんとバルちゃんも新米使い魔に優しくしてくれている。


もう、私も気にしないでいこう。


店の準備をしているランさんに、「皆さんにお店の中を案内しますね」と、言うと、顔を上げず帳簿を見たまま「師匠の工房以外で宜しくー」と、言われた。



「了解です、では、皆さんこちらへ」と、声を掛け店の中を案内した。



「店の中を案内します。店先はもうご存じでしょうから、カウンターからこっち側ですね。店の質問はランでも私でもいつでも聞いて下さい。では、付いて来て貰っていいですか?」



私が声を掛けると、キムハン副隊長が頷かれた。



「宜しくお願いします、店の中のメモを取りますが他言は致しません。警護が終われば破棄します」



私は頷き、では行きますか、と、私達は店の中を通り過ぎ、カウンターの向こう側へと歩いた。


カウンターの奥も部屋になって仕切りがあるが壁は部屋の半分程あるだけで、ドアも無いので店の中からも覗ける。



「お客様が入れるのはカウンターの前までですね。ここから先は私とランと師匠しか入りません。カウンターの奥のこの場所は私の錬金場所になってます。これが錬金釜で、私が薬を作っています。店からも見えますね」



私は錬金釜の前に立ち、店の方を覗く。



「ランがちょっと出かける時なんか私がここから店番する事もあります。調合中だと接客は出来ませんが、配合考えたりだと釜離れても大丈夫ですからね。」



ホーソンさんが錬金釜を覗く。



「調合中の錬金釜には触らないようにお願いします。魔力によっては爆発するかもしれないので。ああ、大丈夫ですよ。錬金釜の上、天井を見て下さい。あそこに爆発除けのお札張ってます。結界みたいな物ですかね?爆発はあの中で収まる予定ですので店にいても大丈夫です。でも、薬の材料によっては痒くなったり、痛くなったりする物もあるので、気を付けて下さい。それは防げないので。危ない物はランが厳重に保管してるはずですけど、分からない物は触らない方がいいですね」



爆発と言う言葉に驚いた三人だが少しほっとしていた。



「まあ、錬金釜の横にいて爆発すると怪我はするかもしれませんね。近づくのは程々でお願いします。こちらの棚と店のカウンターの中の棚に置いてある物は比較的安全です。高価な物と危険な物は錬金釜の奥の棚と、廊下にも棚があるんですがそこにあります。マジックバッグに入れている物もありますが、何入れたか忘れちゃったりするんで、やっぱり棚がいいですね」



三人は頷くと錬金釜の周囲を確認した。


今は触られても大丈夫ですよ、と言うと、皆、興味があるのか触ったり少し叩いたりしていた。

私は錬金釜の横のキッチンを指差した。



「キッチンはここです。自由に使われて結構です、椅子や机も自由に使って下さい。小さな保存箱で使ってない物があるので物置から持ってきましょうか。あとでランに置いて良い場所を聞きますね。警護の間、専用にされて下さい。お皿等使った物は洗って元の場所にお願いします。しっかり拭いて戻してください。ランは濡れてるのに片付けた物見つけると怒ります。普段、ランは主に店にいます。カウンター付近で仕事する事が多いですよ。私はこの辺りですね。なので、私達は多くの時間ここで過ごします。ではこちらへどうぞ」



扉を開けて廊下に出る。

廊下の片側にずらっと棚が備え付けられてある。



「こちらが先程言った、材料等を置いてある棚ですね。棚の上を見て下さい。一応お札をここにも貼ってます。一度私が瓶を落として爆発した事がありますが軽い火傷で済みました。材料は爆発する物ばかりじゃないので安心して下さい。良い匂いの物や、綺麗な石等もありますよ」



三人は瓶の中の材料を見ていた。

瓶を触って大丈夫な事を伝えると、重さ等をチェックしている。

廊下の幅等も計られ、手を広げたりしていた。


私は廊下に出てすぐ左手のドアを開けた。



「ここが休憩室です。寝泊まりするならここが宜しいかと。狭いですけど、机、椅子、ベッドがあります。あと、小さいですがクローゼットですね。私達も泊まり込みの時はここを使います。私が使う事が多いですね。錬金は途中で止めれない事もあるんですよ。あと、帰るのに疲れすぎた時や、朝早くの注文の時等には泊まりますが、あまりありませんね。シーツは新しい物持ってきます。二階にも部屋があるんですけど掃除をしていません。そちらも案内するので、何処で休まれても大丈夫です」



隊員さん達は私の説明に頷いたり、窓を開けたりしている。

鍵の確認や天井等も見ている。



「質問等あったら言ってくださいね。では次に行きますね」



休憩室を出てまたすぐの左のドアを開ける。



「ここはシャワーやトイレです。水回りですね、洗濯等もこちらを使って下さい。ただ、シャワーもトイレも一つしかないので、人数が増えると不便かもしれませんが。そこはまあ、適当でお願いします。石鹸等もある物でいいなら使っていいですよ。店の失敗作を置いてます。形が不ぞろいだったりした物で品質は問題ありません。気にしないのなら洗面の横に使ってない新品があるので自由に使っていいです。タオル等は予備もありますが、タオルは専用の方がいいですね。ご自身で持ってこられます?あとでランに聞きましょう」



皆はシャワー室やトイレ、窓の数、部屋の大きさ等メモを取ったりしている。

簡単な地図も書いているようだ。



「では、次に行きますね」



私は廊下に出て、店とは反対の突き当たりのドアを開けた。



「ここは裏庭になります。洗濯等こちらで干されていいですよ、ゆっくりされたり、運動もここで出来ます。天気のいい日はここでお昼ご飯食べたりもします。そこにある、椅子と机も使われていいですよ。その裏庭のドアは裏道に続いていますが、普段は閉めているので使えません」



皆は庭に出られ、確認をしていた。



「裏の鍵や店の鍵を持たれているのはホグマイヤー様と、お二人ですか?ここのドアは使えないとは?」



キムハン副隊長が聞かれる。



「鍵は師匠のみ持っています。表のドアは私達は師匠に登録されているので自由に開けたり閉めたり出来るのですよ。こう、手を出しノブを触るとですね、ドアのカギを開けたり閉めたり出来ます。この裏通りのドアは師匠はいつも閉めているので今は誰も開けれないと思います。必要に応じて開けて貰ったりしますが、あまりないですね。表から裏に行く遠回りも少しだけですし。安全面から考えると閉め切っていた方がいいですよね?」



私の言葉にキムハン副隊長は頷く。



「キムハン副隊長達に鍵を開け閉めして貰う事は無いと思うので、鍵についてはこのままにしておきますね。ただ、窓の鍵は小さい物に関しては何も保護が付いてないと思います。大きなものは石ころ投げられても割れないようにしてますが。爆発の予防ですね。大きな窓の鍵がどうなのか後で調べてみましょう。ドアに関しては店に泊まられる時は私達が閉めて出ます。そして私の使い魔を一匹置いて行きます、二人?一人と一匹で守られて下さい。連携も取れると思います」


では、また店に戻りましょう、と言うと裏庭から皆中に入った。



階段下の小さなドアがあるのを見せ「ここは師匠の工房です。立ち入り禁止です。多分、入ろうとしても入れないと思いますが、試される事はおすすめしません。えっと歩く屍薬より恐ろしい事になると思いますよ?」



私がそう言うと、キムハン副隊長も含め三人が「「「了解した」」」と首を縦に振られた。


よっぽどすごい効果だったのね。



「では二階へどうぞ」



私達は階段を上り二階へ来た。



「二階は部屋が三部屋です。こちらを使われてもかまいませんが、ずいぶん使ってないので掃除が必要ですね。あまり使わない材料や道具も奥の部屋に置いています。埃っぽいですね。窓を開けておきましょうか。ご自分でされるのなら、ここ、使われていいですよ?」



私は最初の部屋を開け、中を見せる。



隊員の人達は窓の位置、鍵の場所、ドアの開け閉め等をチェックしていく。



「次の部屋は物置に使ってます。結構頻繁に物置は入るので二階の部屋は物置の方がいくらか綺麗です。最後がこの部屋ですね」



私は最後の部屋も見せて「以上です。何か分からない事があったらまた聞いて下さい。では、店に戻りましょう」と言った。



キムハン副隊長が「ジェーン嬢、丁寧に有難う、部屋は一階が良いのか二階がいいのか今日一日見て決めさせてもらっても良いだろうか?」と言われ、「構いませんよ、気になる所は今見せた部屋であればご自由に見て下さい」と答えた。



誤字報告助かってます、有難うございます。

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