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魔女のローブ

第三章始めました

魔女になった次の日の朝、私が休憩室を出ると錬金釜の横の椅子にローブが掛けてあった。

広げて見てみると、一目で上質と分かる生地に金色のツタの刺繍が袖と襟元にしてある紺色の物だった。



「素敵・・・」



金で出来たツタのピンで師匠からの手紙が胸元に留めてあった。



「ロゼッタ。見習いエプロン外しとけ。今日からこれを着ろ。この間のブローチも留めとけよ。ローブの下の本はお前にやる。工房から出したくないがな。本を使うのは工房の中でしろ。工房の奥もお前は入れるようにしてある。本はお前のアルに持たせてろ。無理すんなよ」



ローブの下にはモラクスさんの本があった。



「アルちゃん、あなたが預かってくれるの?」



アルちゃんはコクンと頷くと本をパクリと食べた。



成程。



「は!アルちゃん、本を出す時はどうするの?まさか・・・」



アルちゃんはぺっと本を出した。


成程。良かった。



店の中は私と三匹だけ。


魔女になり、見えている物が変わった。魔力の流れが水の流れの様に良く分かるようになった。

師匠がまだ暗いうちに転移したのも分かった。



師匠、怪我しないと良いけど。


あと、あまり暴れすぎないようにして欲しい。


高笑いしながら長い髪をなびかせ、ドカンと魔法を打ち込む師匠を想像してしまった。


大魔女の師匠はこれ以上二つ名いらないと思う。


私がローブに着替え、朝の準備を終えご飯を作っている所でフォルちゃんがドアの方を向いた。



「誰か来た?」



私は肩にアルちゃんを乗せドアの方にむかいながらフォルちゃんに声を掛けると、しっぽがぱたぱたと揺れた。


ドアの前に着くと呼び鈴が鳴り、すぐにドアを開けると驚いた顔の王国軍団の人達がいた。



「朝早くに申し訳ありません。第五軍団副隊長のキムハンと申します。国王陛下の命により警護に参りました」と、礼をされた。



キムハン副隊長の後ろには隊員が二人いて、二人も私に礼をした。



「おはようございます。中にどうぞ。タウンゼンド宰相から聞いてます」



私はそう言って三人を店に通した。



「そこの椅子とテーブル、使って下さい」



私が店の中のテーブルと椅子を指さすと、三人はその前に立ち、私の方を向いた。



「本日よりジェーン嬢並びにラン嬢、名無しの薬屋の警護にあたらせて頂きます。我々は王国第五軍団より参りました。私は副隊長のベンジャミン・キムハン。この二人は第二班のエレナ・ホーソン隊員と、第三班より参ったジャン・ボンジョウ隊員です。ここには今いませんが、バードン・ピットマン隊員も警護にあたります。女性のみの店でありますので、女性隊員を一人警護に付けました。三人は交代をしながら店とラン嬢を警護します。一人はここに寝泊まりさせたいのですが、何処か空き部屋等ありますか?寝れればどこでも良いのですが」



私は頷き礼をした。



「キムハン副隊長、宜しくお願いします。ホーソンさん、ボンジョウさんも宜しくお願いします。私は名無しの薬局、魔女のロゼッタ・ジェーンです。私からも紹介しますね。この三匹は私の使い魔です。何かあった時はこの子達に言って下されば私に伝わります。この犬の子がフォル、この鳥の子がウェル、このトカゲの子がアルです。寝泊まりは休憩室で出来ますよ。新しいシーツ、出しときますね。あとで店の案内をします。もうすぐ姉弟子もやってきます。師匠は明け方にはもう転移して王太子殿下の所にむかわれたようです」



私がそう言うと、使い魔の三匹は三人の前に出たが、ジッと動かず三人を見つめた。



キムハン副隊長が三匹にむかって礼をした。



「フォル殿、ウェル殿、アル殿、ベンジャミン・キムハンと言います。短い間だとは思いますが、貴殿達の主人を守らせて頂きます。至らない所もあると思いますが宜しくお願い致します。こちらは私の部下達です」



キムハン副隊長がそう言うと、ホーソンさんとボンジョウさんも礼をした。


ジッと三人を見つめていたが、三匹は小さくお辞儀をすると、話は終わったな、と、フォルちゃんはドアの前に、ウェルちゃんは窓の付近に移動しアルちゃんは私の肩に登った。


自由な子達だ。

使い魔って主人に似たりしないのかな?私は謙虚だと思う。



「私はジェーン嬢を主に警護する事となります。ジェーン嬢、宜しく頼みます」



キムハン副隊長はそう挨拶され、後ろのホーソンさんとボンジョウさんも礼をされた。



「ご丁寧にどうも。わざわざ副隊長にお越し頂いて申し訳ないです。宜しくお願いします。私、朝ご飯まだなのでこれから食べるのですが、いいですか?お茶入れますが、良かったらご一緒にどうぞ」



気にしないで下さい。と言われ三人は店のドアの前、カウンターの前、そして副隊長は私の横と立ったままだ。


私はキッチンで朝ごはんのスープとパンとフルーツを用意するとテーブルに置いた。


店の方のカウンターに皆のお茶セットも用意した。



「私、今から食べますね。皆さんも良かったらどうぞ。警護のお仕事で、座れない等あれば仕方ありませんが」



私がそう言うと、礼をされたが、皆立ったままだった。

まあ、仕方ないのか。

私も錬金中に話し掛けられても答えられない時あるしね。

使い魔ちゃん達も自由にしてるし、私も自由にしましょ。


私が朝ごはんを食べ終え、洗い物をしていると、カランとドアの音がした。

店に入りながらランさんが話し掛けてくる



「ロゼッター、おはよー。もういるのー?早いねー。泊まったのー?昨日の夜、師匠がジルちゃん連れて来たと思ったら、その後、バルちゃんも来たけど何かあったー?うわっびっくりした。軍団の人?危ない、もうちょっとで練薬投げる所だった。バルちゃんからの手紙で、今日師匠お出かけって聞いたけど?あと、過剰防衛に気を付けろって。何かな?こういう事?」



ランさんは店の中を見回して首を傾げた。



「使い魔増えてる?うーん。色が師匠と違うね。あ、ロゼッタの色か。ロゼッタ、魔女になったのー?ローブ素敵ー。おめでとー。お祝いしましょー。軍団の人がいるけど、何かあったー?黒?第五?」



ランさんも色々分からず困ってるはず。



「おはようございます、ランさん。昨夜色々あって魔女になりました。ローブ似合いますか?師匠が用意してくれていました。ちょっと恥ずかしいですね。警護はですね、昨夜、私、誘拐されかけたみたいで、それで軍団警護が着く事になりました。第二軍団とも連携取られるようですが、第五の方達が来てくれました。こちらの方々です」



私が紹介すると、お互いに自己紹介をしていく。



「ロゼッタの誘拐で師匠が動いたのねー。分かったー、師匠のお出かけもそういう事なのねー。ジルちゃん、バルちゃんもそういう事ねー。成程、過剰防衛了解ー。しっかり守りますよー」


ランさん適応能力高い。


私は色々ありすぎて頭パンクしそうなのに。



「どうもー。ランです。こっちは師匠の使い魔のジルちゃんとバルちゃんです。店と私の警護も付くんですか?大変ですが、お願いしますねー。あ、これって、警護費用ってどうなってるんですかー?」



流石ランさん。気付く所が違う。



「あ、どうなんですかね?」



私がキムハン副隊長に振り向き聞くと副隊長は、



「陛下や宰相からの依頼なので、こちらの店から金銭は発生しないはずです。ホグマイヤー様の心配が無いようにとの事なので。心配ならば宰相に確認の魔鳩をすぐに飛ばします。」と言われた。



「はい、すぐにお願いします。お金かかるなら、使い魔いるんで、結構です。タダならいてくれてもいいですけどー、商売の邪魔になるならいなくていいですよー」



ランさん強い。



「了解しました」



キムハン副隊長は言われ、すぐに魔術紙を出すと魔鳩を飛ばしていた。


ランさんも師匠とは違う意味で無敵よね。

私が一番弱い。


そうよねーっと心の中で話し、アルちゃんに目配せすると、ぺっと舌を出された。



第三章始めました。


一日一話投稿できたらしていきます。



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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 三部目開始ですね (*^▽^)/★*☆♪ 成り立て魔女ロゼッタちゃん。まだ少し混乱中? ランさん頼もしい~♪ そして毒舌も冴え渡る!o(^o^)o 頑張れ第五軍団! …
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